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第40話

自分のベッドに俺を寝かしてくれて、あきくんは床に敷いた客用布団の上。 恋人が居るのに他の男をベッドに誘っちゃいけませんって、前に言われたけど。 俺、今 恋人居ないし、あきくんのことベッドにお誘いしちゃいかんかな? ……まあ、だめだろうなぁ。 あきくん、何気にお堅いもんな。 でも、この間はうっかりして忘れてたけど、電気消して真っ暗になったら、また聖域の外に居るあきくんが危ないことになっちゃう。 一緒に寝るうんぬんより、そっちのがもっといっぱいマズイだろう。 「七瀬せんせー、提案です」 挙手して発言すると、あきくんは「はい、鈴原君。なんですか?」って、ノリノリで応えてくれた。 これは……もしかしたらイケるかもしんない! 「ベッドの外は危ないので、隣で寝ませんか?」 「危ない?………ああ」 今思い出したかのように頷くあきくん。 もしかして忘れてたのか!? なんて危険な人! 暗闇は夜の眷属のテリトリーなんだから、すっごく危ないんだよ!! 「ええと、十碧?」 「はい。どうぞ!」 「どうぞじゃなくてね」 掛ふとんを捲っていらっしゃいポーズの俺に、あきくんは困ったように頭を抱えるけど…… ベッドの聖域からはみ出たものは、髪だろうが手だろうがザックリやられちゃうんだよ!? 布団でなんか寝てたら、それこそ全身バラバラにされちゃう!! 正に命の危機だよ! 俺、壮太兄ちゃんにソレ教えてもらってからほんっっと怖くて、ここ十年近く絶っっ対はみ出さないように細心の注意を払って寝てるんだから。 「この間 話したと思うんだけど、うちは父親がエク…」 「あっ!憶えてるよ!お父さんが陰陽師でお母さんがエクソシストなんでしょ!すっごいカッコイイよね!!」 「えっ、あ、うん。そうだ。父親が陰陽師だ…」 「あきくんもどっちか継ぐの?」 「あ、僕は…普通の企業に就職できればな、と…」 「そうなんだぁ…」 勿体無いなぁ。あきくんの陰陽師姿なんて神々しさの極みだろうし、エクソシストだって……うわぁっ、カッコ良すぎて悪魔も蕩けちゃうよ!! 自ら囚われに来ちゃいそう!サキュバスもインキュバスもメロメロだね。 「だからね、うちはそう言った悪いものが入って来られないように、…結界?が張ってあるから、十碧の家よりも安全なんだよ」 「結界!? そうなの?すっごい!!」 「…うん。兄さんは僕よりも力が強いし、万が一何かが入ってきても気付かないうちに倒してくれると思うよ」 「おおーっ!陽成さんカッケー!!」 陽成さんは、エクソシストの衣装のが似合いそうかな。 あきくんが陰陽師で、陽成さんがエクソシスト……うぉお、美形兄弟ヤッバイ!! 「これで安心して眠れるかな?」 俺の頭をふわりと撫でて、なんでかホッと胸を撫で下ろしてるあきくん。 ホッとするのは、安心安全だって教えてもらった俺じゃないの? 「あっ!それとあとね、」 「まだ何かあった…?」 「うん!あきくん、ぬいぐるみ貸して」 「ぬいぐるみ…?」 「うん。ぬいぐるみを抱いてるとね、眠ってる間に何か来ても、戦って護って、追い出してくれるんだって。だから俺、いつもクマ太と一緒に寝てんだけど…」 今日はクマ太が一緒じゃないからちょっと心細いんだ。旅行の時も(修学旅行とかには流石に連れてけなかったけど)、小さい頃両親の真ん中で寝てた時も、いつもクマ太は一緒だったから。(泊まろうと思って来てたこの間も、当然クマ太はインマイバッグだった) クマ太も今、俺が居なくて寂しいだろうな…。 けど、俺の留守の聖域の警護はクマ太、お前に任せたぞ!! 「従兄弟のお兄さん…、こんな純粋な子になんて事を……」 「ん?」 あきくんが小さく何かを呟いたけどよく聞こえなくて。 見つめて首を傾げてみせると「何でもないよ」と、あきくんは首を横に振ってふわりと目を細めた。 「十碧、うちにぬいぐるみは無いんだけどね、本当に危ないものは入ってこないから、それだけじゃ安心して眠れないかな?  もし何かあっても、絶対に僕が護ってあげるから」

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