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第41話

まさかあきくんの家に、ぬいぐるみの一つも無かったなんて……!! 衝撃の夜から8時間─── 俺は、毛布を紐で結ってぬいぐるみに見立てた“もふもふくん”を抱いて寝たお陰もあってか。何事もなく、朝を迎えることが出来た。 やっぱり、退魔一族の自宅だけある。 セキュリティは万全なようだ! 「おはよう、十碧くん、玲」 七時過ぎ、2人でリビングに下りると、陽成さんが朝刊片手に、コーヒーを飲んで寛いでいた。 大学生って言うより、オシャレなサラリーマンみたいだ。 美形ってやっぱり絵になるな。 「おはようございます。昨夜は何も来ませんでしたか?」 もしかして、俺が眠ってる間に、悪しきモノと戦って追い払ってくれたんじゃないか。 少し不安に思って訊いてみた。 「え?いや、何も……え?」 この動揺っぷりは、もしかして…… 「大丈夫です。俺、あきくんから聞いたこと、誰にも話しませんから」 きっと、退魔一族だってこと、世間には秘密にしてるんだ。 そう云うのを奇異の目で見る人もいるし、そうと分かれば色んな人から祓ってくれって依頼がひっきりなしに寄せられちゃうかもしれない。 そりゃ確かに大変だ。秘密にしなきゃ、生活に支障が出る! 「あ、そう…?うん、そうしてくれると助かるわ…」 あきくんと顔を見合わせて、未だ動揺を隠せない様子の陽成さんに、力強く頷いてみせた。 俺はあきくんの──七瀬家の不利益になるようなことはしません!! 朝ご飯の仕度中、リビングで陽成さんと待機中。 手伝おうと思ったのに、リビングで待っててって、あきくんにソファーに追いやられた。 ………なんか、もしかして俺、なんにも出来ない奴だと思われてないか…? 片付けも任せてくんないし、家でも料理の手伝いぐらいいつも…は言い過ぎだけど、時々はやってるから出来ないことないのに。 「───はっ!それとももしかして…!」 「ん?どうしたの、十碧くん」 一緒にテレビ観て寛いでいた陽成さんが、思わずあげちゃった俺の声に反応して振り返った。 「う~ん…。あきくんって、俺に手伝いさせてくんないじゃないですか。それって…」 「ああ。すっごく甘やかされてるよね、十碧くん。年下の恋人が可愛くて仕方ないんだろうねぇ、玲ってば」 にこにこ笑顔でウンウンって。 うん。俺も、そうじゃないかと思ったとこ。 でも、 「…恋人じゃ、ないですよ?」 「ん?…え?付き合ってないの?」 ビックリされた。 「付き合ってないですよ」 「ええ?………ゆうべはお楽しみでしたね」 なんだその、某RPGの宿屋なセリフは。 「……楽しんでないです」 「え、うそ。玲、ヘビの生殺し?」 「……それはほんと、スミマセン…」 でも昨日、帰らないでって言ったのはあきくんの方だし。 俺は帰るって言ったし。 我慢…させようと思ってさせてる訳じゃない、し……

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