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第43話
───さて、準備は整った。
従姉の沙綾ちゃんに相談して、なんとかブツを手に入れることが出来た。
沙綾ちゃんは都内在住のデザイナー(母親経営の会社勤務)で、俺に『世の中には 夢みたいにキラキラした男同士のラブストーリーがあるんだよ♡』ってことを教えてくれた、ある意味師匠のような、指針を示してくれるコンパスのような、カウンセラーのような──ぶっちゃけ、セクシャルな部分を隠さないでなんでも相談できちゃう、海のように心の広い、身内でたったひとりの理解者。恩人。神!だ。
本人曰く仕事とBLが恋人で(美人なのに勿体無い)、端から見る限り とんでもない弟大好き お姉ちゃん。
可愛い男の子が大好きだと豪語してて、その流れで俺のことも可愛がってくれてるらしい。
俺、可愛くてよかった。
男性アイドル大好きな俺にも全然引かない。寧ろ、そんなの美味しい!って背中を押してくれる沙綾ちゃん。
だから中学生の頃──同級生たちが性に興味を示し出す中、自分が女の子を好きになれないんじゃないかって不安になった時。
冗談っぽく言ってみたんだ。
全然悩んでませんって顔をして。
『俺、女性アイドルより男性アイドルのが好きじゃん? もしかしてさ、…この先、好きになるのも、女じゃなくて男だったりして』
『っ──なに馬鹿なこと言ってるの!』
恐い顔でそう怒鳴られて、
あぁ…やっぱり沙綾ちゃんでもダメなんだ。話、聞いてもらおうなんて、土台ムリな話だったんだ……って。
『何怒ってんの?冗談だってば』
だけど、そう言おうとした俺の カラ笑いさえ遮る勢いで、沙綾ちゃんに続け様に怒鳴られた。
『そんな当たり前のこと冗談みたいに言わないでよ!私ずっとそう信じてきたんだから。今更ちがうなんて言われたら……、母さんのブランドのモデルのイケメン連れてきて無理矢理にでも尻孔開拓させちゃうんだから!』
『え……えっ!?沙綾ちゃんっ!??』
『十碧ちゃんは王子様みたいな美形男子に恋するネコちゃんなの!』
『ネコちゃっ…??』
『つまり、今更 恋人だっつって女連れて来られても、沙綾ちゃんは許しまへんで!』
『え…、………えぇぇ……』
ネコとかタチとか、ノンケ、テヘロ、なんて言葉も知らなかった俺に、正しい知識とちょっと夢見がちな恋のアレコレを教えてくれた、同性愛の先生・沙綾ちゃん。
俺が変に悩まず、内に篭ったりしないで済んだのは、ひとえに沙綾ちゃんのお陰って言っても過言じゃない。
そんな訳で、今回も恥なんかぜんぶ取っぱらってズバッと相談した。
陽成さんから言われたこと。
あきくんにされてるとこ想像して、その……ひとりえっち…して、イケたらそれは恋なんじゃない?って。
でも俺は、前を擦るぐらいしかした事なくて、そんなんでイケるのは普通のことで……だって、それって生理現象じゃん。
だったらさ、後ろ、開発してみたらどうだろう。
そう…思ったんだけど、なんかネットで調べたら、身体硬かったり指が長くないとイイトコロに当たらないかもとか、自己開発なら玩具でしょ、とか。
『それならこの、Over18の沙綾ちゃんにおまかせ♪』
そんな訳で、26歳の沙綾ちゃんにお任せして、買ってもらいました。
オトナの玩具ってやつを………
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