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第52話

だがしかし! 可愛いって思われるのはあきくんからだけでいい! つーわけで、今日はあきくんと一緒じゃないから、男らしいもんガッツリ食べよう! 『ランチ』じゃなくて、『昼飯』でいこー! 「とあは何食べるか決めたー?」 「うん。俺はねぇ、ランチのこのドリアをドリンクセットにしてー、あとピザとー、食後になんかデザート食べる~♡」 「トアって可愛い顔して何気に大食らいだよな…」 「シノ煩い」 「僕もデザート食べたいなぁ。ランチセットってサラダにスープも付いてくるんだよね。スープは重いかなぁ」 「はいっ!怜ちんの食べ残しなら喜んで俺が頂きますっ!」 「ライちゃん煩い。月ちゃんはどうする~?」 「僕はパスタのランチセットにランチドリンクバーと、食後にジェラート食べる」 「あ、ジェラートいいな。僕もそうしよ♪」 「あぁ…、この空気!癒やされる…」 俺たちのやり取りにちょこちょこ入ってきながら、ニマニマ笑顔で楽しそうなシノが気持ち悪い。 どうせ「3人共可愛い♡ 特に俺の怜ちんマジ天使っ!」とか思ってんだろうけど。 もしかしてこいつも、女より男が好きなのかな。 まあ、例えそうだとしても、俺とは逆にバリタチなんだろうな。 ピンポン鳴らしてオーダーを終えて、先に行って来いってハッシーが言ってくれたから、怜と月都と3人でドリンクバーを取りに行く。(ハッシーもなんだかんだ俺たちに甘い。) 噂のイケメンが気になって、歩きながらキョロキョロしてると怜に可愛く笑われた。 「とあ、相変わらずのイケメン好き~」 「俺だけじゃないもーん。絶対、月都も気になってるしー」 月都は、男で唯一の男性アイドル好き仲間だ。 「僕は、いいかな」 なのに首を横に振って苦笑とは…! 一体男子校の寮に入って何があったの月都クン!? 「まさか……イケメンに輪姦(まわ)された!?」 「っ──月ちゃん!?」 「………どうしてそうなるの…」 「ですよねー…ィテッ!」 怜に頭叩かれた。 「もーっ。とあが変なコト言うから焦っちゃった」 「だって月都がイケメンもういいとか言うんだもん」 イケメン好き仲間としては、ちょっと悲しいじゃん。冗談のひとつも言って、寂しさを訴えてやりたいじゃーん。 「あ、あそこかな?」 とか言いつつ、舌の根も乾かぬうちに、イケメンの席を目敏く見つけた月都。 全然卒業出来てないです、月都クン。イケメン好き仲間続行です。 月都の視線の先には2人の男の人。 年上っぽいな。大学生? 一人は長身で黒髪短髪。真面目なスポーツマンっぽい精悍な顔付き。球技より、剣道、弓道みたいな、道着が似合いそう。 もう一人はやっぱり黒髪で、髪はそこまで短くないけど優等生っぽい。先生から「○○に任せておけば安心だな」なんて言われてそう。 2人とも、美形だけど、アイドルって感じじゃない。男前スポーツ選手とイケメン俳優って感じかな。 つまり、俺の好みからは外れてるって訳で…… 一気に興味失くなっちゃった。 だって、俺のタイプはキラッキラの王子様。 今はあきくんで頭がいっぱいだから他の人には目移りしないし。 …いや、アイドルはさ、あれは芸能人だから。目の保養のためにはやっぱり観ざるを得ないよね。 美形に罪はないよ、うん。

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