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第11話

入学して一週間が経った現在、ましろは焦っていた。 ましろには勤めがある。 生徒達のように将来に役立つべく学びに来ているわけではないのだ。 穀潰しでしかなかった自分がここに来た理由は1つである。 将来尽くすべき主──昴琉の側室としてこの桜陽学園にやってきたのだ。 側室とは名ばかりで、実際のところ体のいい暇つぶしになれと言うことなのだろう。 昴琉の実家は分家をいくつも抱え、この国の中枢に君臨する有名な資産家だ。 海外にも支社を持ち、この先も繁栄するであろう将来の行く末を担う若き当主である。 だからこそ痴情のもつれなどと言ったくだらない事で、醜聞になることを阻止したいのだろう。 力を持っている昴琉ならばもみ消すことも朝飯前ではあるが、ここには昴琉と並ぶ名門の子息達が多く通っているのだ。 やがて共に働くことを考えれば、強引なことは避けたいのだろう。 それほど昴琉の行いが酷く爛れていることに、ましろは入学した翌日、自分の目で目撃した。

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