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第12話
同室者との空気に耐えられず、寝静まるまで外を散歩することにしたましろの耳に不思議な音が聞こえた。
すすり泣くような、苦しそうな。
それでいて何かを叩くような、そんな奇妙な音がましろの近くにある木々の方から聞こえたのだ。
暗闇に濡れた庭近くを歩いていたましろは、誘われるようにそちらへとつま先を向ける。
やがて明瞭になってきた音の正体に、ましろは氷づいた。
「っ、あ、あ、や」
切なげに甘く鳴いては縋る少年を、荒々しく組み敷く体の大きな少年。
その音と、動きに、初心なましろでも気付かざるを得なかった。
──え、エッチなこと、してるの?!
理解した瞬間、ぶわりと顔が熱くなる。
熱に浮かされたようにましろの綺麗な紅眼が潤んだ。
逃げ出したいほどの羞恥心に駆られる。
同時に、見てはならないものを見てしまったという罪悪感。
様々な思いが駆け巡っていった。
「あぁっ! すばる、すばるっ」
一際高くなった淫靡な喘ぎ声に、ましろの体から力が抜け落ちる。
たどたどしく甘えるように呼ばれたその名前はましろのよく知るものだったからだ。
(すばる……、あそこに居るのはもしかして昴琉さん?)
混乱していた為に気づかなかった。
冷静になり目が慣れればすぐにわかったのに。
暗闇の中でも輝く凛とした金色の双眸は確かに彼──昴琉のものであった。
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