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俺が俺でなくなる 過去
兄はみるみる痩せていった
急に保育園へいかなくなったから不思議に思っている人も多くいたが両親が離婚し兄は父の方に引き取られたのだろうという噂がたちいつしか忘れ去られていった
そんなある日父が久しぶりに帰宅した
父の姿を見つけると母は父に食って掛かった
「あなたが先に裏切ったんだ!!」
鬼の形相で父に食って掛かる母に父は戸惑いの色を浮かべていた
ついに母は刃物を持ち出した。
そして…父を刺そうと走り出したがその前に兄が立ちはだかり…兄にそれが刺さった。夥しいほどの出血…
父は母を突飛ばし兄を抱え運ぼうと背を向けた
母は再度刃物を振りかざした
「母さん!!」
叫んだ俺に気付いた母は刃物を落とした
「あなたが悪いのよ…私が…私が苦しかったときには見向きもせず攻め立てたくせに…今さら何よ…あなたさえいなきゃ…あなたさえ…」
父は無言で家から兄を連れ、出ていった
それからは兄にしていたことの矛先が俺に向けられた
殴られ蹴られ…
母はどんどん壊れていく…そして俺も…
殴られるのは当たり前だし食事もないことは当たり前。
綺麗だった母はどんどん顔も変わっていった
そんな生活が約2年
俺は外にも出られなくなったし部屋の中は荒れた
それでも母がここにいてくれる…それは安心だった。
大きな家で一人にされるのは恐ろしかった
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