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第163話
「父さん。母さん。心配かけてご免なさい。あのお願いがあるんだけど…」
「言ってみて。」
「俺…俺ね北時のままでもいい?やっぱり俺にとってはここが実家だし父さんと母さん。そらとりくが家族だって…そうとしか思えなくて…。
…ダメ…かな?」
「良いに決まってるでしょ…」
母さんはボロボロと泣き出してしまった。
それを慰める父も目を潤ませていた
「これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ」
「よかった…不安だった…あなたが松原に戻りたいって言うんじゃないかって…私たちにとってあなたは我が子なの…手放したくなかったの…本当にいいの?」
「ここがいい」
「うん…うん…ありがとう…ありがとう…」
その日は葵さんも呼んでパーティーを開いた。
久しぶりの母の料理の味に涙が溢れた
それから茜の冬休みが終わるまで実家で過ごした。
兄もずっと一緒だった
帰りの電車の中
「ねぇ。さなえ。すごくすごく素敵な家庭だったね。そらちゃんもりくちゃんも可愛いし素直だし明るいし…よかった…こんなに暖かい家庭にいてくれて。安心したよ」
「うん、今度は兄さんの家族にも会わせてね」
「勿論。あ…連絡先。交換しよ?」
「うん!!」
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