「茜」 「ん～？」 「今度の休みなんだけどさ」 「ん」 「美空さんと出掛けるからね」 「ん」 最近は茜は俺の話はどこか上の空で聞くことが増えた。 勉強で疲れてるのかなってあまり気にはしていなかったけれど… それにしたってあんなに性欲の塊みたいだった茜が全く手を出してこなくなってもう随分とたってしまった 本当は一緒にいるのもう嫌なんじゃないのかな… そんなことをよく考えるようになった 一緒に食事をとっていても一緒にバイトに入っていても同じベッドで寝ていても一緒にお風呂に入っても目も合わせてくれないのだから… もう俺は一人でも大丈夫…準備をしないとならないかもしれない… 茜を解放してあげないとならないかもしれない… 胸が痛むけれどそれも仕方のないことなのだろう。 「ねぇ。さなえ」 「何？」 「その日俺も出掛けてくる。泊まりになるから」 「…わかった」 そんなの今初めて聞いた。誰とどこに行くのか…誰と泊まるのか？ 聞きたいことは沢山あるけれど聞けないでいた