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遭遇
おすすめのお店はとても落ち着ける空間。実家に帰ってきた感覚
思いの外長居したらしい
「わぁこんな時間まで付き合わせてごめんね」
「いえ。楽しかったです」
「良かった」
二人して駅へ向かう
もう少しで駅というところの路地裏…その先はホテル街なんだと美空さんが言う
そうなんだあ。なんてことない会話…ふと正面に目をやる…
見間違えるはずない…目に飛び込んで来たのは…茜だ。
隣には背の低い人。男なのか女なのかはわからないが仲睦まじそうに肩を寄せ合い歩いている。
茜は昔俺に見せてくれていた甘い笑顔だった…
「さなえくん…」
「ははっ…やっぱり…もう」
その場でしゃがみこむ…
「茜っ…」
「さなえくん…」
「茜っ…」
苦しい…わかっていたのに…息が出来ない…ホテル街に消えていく二人をただ見送ることしか出来ない…力が入らなくて立ち上がれない
急にあそこに初めて連れていかれた時のあの写真を思い出した…
あの男の言うことは本当だった。茜には新しい人がいたんだ…
壊れたように泣き笑う俺を道行く人が何か呟きながら去っていく…
「ははっ…あははははっ…」
「さなえくん!!」
強い声で美空さんに呼ばれはっとする
「あっ…すいません…俺行きますね」
美空さんをその場に置き去りにしたまま走り出した。
後ろから呼ばれた気がしたけれど振り返れなかった
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