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藍瑠side 「おはよ。藍」 「んんっ…はよぉ…」 「意外に朝弱いんだな」 俺の頭を撫でながら圭くんが笑う。 朝から何て爽やかなカッコいい表情 やっぱり圭くんはカッコいい 「何か…いい匂い…」 「朝食作ったんだ。食べよ?」 「ん…」 まだ眠い目を擦りながらモソモソとベッドから這い出た。 リビングのテーブルにはどこかのレストランの朝食みたいなのが色とりどりに並んでた 「すご…」 2人して朝食をとる。とっても美味しくてほっぺたが落ちそう 「シェフみたい!美味しかった!!ごちそうさまでした」 「あははっ!大袈裟だよ。お粗末様でした」 「だって、すっごくすっごく美味しかったんだもん!」 「口にあって良かったよ」 手際よく片付けもしてくれて学校に行く準備をする。 その後ろ姿にゆっくりと近付き背中から抱きしめた 「うわっ…どした?藍」 「ちゅうして?」 「…っ…お前な…」 「ダメ?」 「ダメじゃないけど…」 そういうと振り返り啄ばむようなキスをくれる 「もっと…しよ?」 「学校に遅れちゃうからこれ以上はダメ。行くよ」 「まだ時間あるじゃん」 「ダメなものはダーメ!色んな意味でヤバいから…」 「えぇ…わかった…」 渋々頷き家を出た。いつもより早めの通学路。 どこからか金木犀の香りが漂って来てた 「いい匂いだな」 「うん。俺この匂い好き」 「俺も」 「圭くん」 「ん?」 「手…繋ぎたいです…」 「っ…何それ…可愛いんだけど…」 圭くんは俺のことが好き…圭くんは俺が何か言わない限り離れていかない…俺のわがまま叶えてくれる… …だから…離したくない。だって1人は辛いもん…蒼が御木本くんに甘い顔を向ける姿を見てたら… だったら俺だって…少しくらいいいでしょ? 自分の中渦巻く汚い感情を見ないふりをして俺は圭くんを利用する… だって…利用していいって言ってくれたから… そっと繋いでくれた手は大きくて温かくて…心地よくて… 俺は酷いやつ…でも圭くんは嬉しそうに笑いかけてくれるから… このまま俺に騙されていて?

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