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「蒼」 「何か状況よくわかんないけど…何がどうなってるの?」 瑞季を膝に抱き後ろから腕を回したまま話す。瑞季のいい匂いが鼻孔を霞めわずかに俺の中心部が熱を持つ 「圭?」 「…俺…藍と別れる」 「は?え?何で?」 別れるという言葉に動揺する。このざわつきは何なんだろう… 「藍には…好きな人いるし…」 「は?藍?どういうこと?」 「俺もわかんない」 「どうして急にそんな思いにたどり着いたの?藍はどうみてもお前の事が…好きだって…だろ?」 チクリと痛む胸を押さえる 「違うよ…藍は…」 「圭くん!やめて…俺は…圭くんの事…」 「藍…もう…耐えられないよ…俺から望んだことですごく勝手なんだけどさ…藍の瞳に写ってるのは俺じゃない…わかってるんでしょ?」 「…っ」 藍が言葉をつまらせた すると抱き締めていた瑞季が身を捩りこちらを振り返る 「蒼…」 「ん?」 「蒼…ねぇ…心の声を聞いてみて…自分の心の声を」 「意味わかんない…」 「もう…俺は大丈夫。大丈夫だから…ね?」 俺の腕から逃れ立ち上がる瑞季が藍を引き寄せ俺の膝に乗せた。 二人して困惑する姿に瑞季も困ったような顔をした 「うん…やっぱり…蒼の場所は…藍のとこだよ」 「は?」 藍が膝に乗ったときぶわっと藍の匂いが俺の中に浸透していく…久しぶりに何かしっくり来て無意識に藍を抱き締めていた 「藍…」 藍は戸惑いながらもそっと抱き締め返した 「蒼…」 あぁ…こんなにも満たされる…わからなかった…気付かなかった…小さな小さな胸の痛みが折り重なって見えなくなってた… 俺は…藍の事が… 「わかった?」 静かに涙を流しながら瑞季が笑う。 「藍。待たせてごめんね。蒼返すね」 ボロボロと泣き出す藍。 「蒼…蒼…」 俺の胸に顔を寄せる藍…確かな温もりを感じて… 「藍…」 名前を呟くことしか出来なかった

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