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「俺は…」
「蒼。ありがとう。蒼が側にいてくれてよかった。圭翔。立てる?」
「ん…」
「行こう」
瑞季が圭を連れて立ち上がる
「二人はもう少し話してて。ね?」
瑞季の真っ直ぐな視線に自然と頷いていた
去っていく二人を見送り腕の中に大人しく収まっている藍の髪を撫でる。
「藍…」
「…」
「今藍の心の中にいる人は誰?」
「…っ」
ポロポロと涙をこぼす藍。
「お前が圭の事を思っているのなら…ちゃんと…話して?」
「蒼は…蒼は…御木本君の事…」
「うん…好きだよ…どうしようもなく好き…」
「…俺も…圭くんが…」
「でもさ…俺の…その気持ちは…偽りだったのかもしれない…藍が腕の中にいる方が俺はしっくりくる…な…藍は…やっぱり…圭…だよね?」
「…蒼…俺ね…明日ここからいなくなるんだ」
「え?」
「父の仕事の関係で…九州に…」
「それは…確定なの?」
「…うん…」
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