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藍は翌日九州に発った。
圭はその喪失感から元気をなくし周りが心配するほどだった。
俺と瑞季もどこか気まずくて今日は話してない。
俺たちの微妙な空気感に周りは何も言えず遠目で見ていた。
1日どう過ごしたかわからない。
連絡先も変わり場所も九州とだけしか聞いてなくて…
もう…藍に会うことは叶わないのだろうか…
俺は…ちゃんと全部を伝えきれていないのに…
「蒼」
「圭…」
「今日は時間ある?」
今日は生徒会の仕事はない。バイトも入っていないので首肯く
いつかの空き教室へ向かい腰を下ろす
「蒼…」
「ん…」
「俺は…藍と過ごせたこの一年すごく幸せだったよ。大好きな人が隣で笑ってくれていたから。でもね。藍の中にいたのはずっと蒼だった。それでも良かった。藍が俺を通して蒼を見てようが構わなかった…でも…好きになれば好きになるほどそれがとても苦しくて…俺が藍から逃げたかった…大好きだからこそ…ねぇ。蒼。お前はどうする?藍を諦める?」
「俺には…瑞季が…」
「まだわからない?」
「…いや…わかってる」
突然扉が開き瑞季がきた
「蒼。ちゃんと言ってなかったね。俺と別れて?」
「瑞季…」
瑞季はゆっくりとした足取りで圭の元へ向かい圭を抱き締めた
そして唇を重ねた
「ね?もう大丈夫なんだ。だから別れて」
「でも俺は…」
「俺は圭翔を選んだ。ただそれだけ。俺は圭翔と歩きたい。だから別れて?そして藍を連れ戻してきて」
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