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藍瑠side みんなが真琴さんみたいに優しい訳じゃない… 乱暴な人も…沢山いた。そんな人に当たるとあの日のことが思い出され激しく抵抗するけれどそれがまた彼らの加虐心を煽るようだった。 いつしかそれさえも俺の体に染み付き恐怖は薄れていった。 犯されてるのは“アイル”じゃない“ウララ”だ… そう思うと楽になれた。 沢山のプレイをして沢山の技術も身に付いていく。 気付けば出勤時は全て予約で埋まりフリーのお客さんにはつかなくなった。 そのほぼ全員が太客でみんなが大枚を叩いて行くから俺は望んでなかったけれどNo.1となっていた。 キャストの子とは待機所が全て完全個室になっているため会ったことはない。 お陰でこの業界にはよくありそうな陰湿な苛めなどは全くなく数年の時が過ぎていた。 お店には次々に新しい子が入り俺はもうこの店じゃ古株になった。 それでも予約は止まないのだからとてもありがたい。 今日は久しぶりのお休みだから少し遠くのモールに行ってみよう。 そう思いたって寮の部屋を出る。 季節は冬。真琴さんにもらった質のいいコートを羽織り歩く。 今でも真琴さんが来たら圭くんのことを思い出すしそうなると忘れたい蒼だって出てくる。 あの日蒼の気持ちを聞かないままその場を立ち去ったけどそれで良かったかな? もし蒼が俺の言って欲しかった言葉を言ってくれたら…俺は今頃どうしてたかな? 過去をどんなに思っても変えられることはないんだけどふとしたときにどうしても思い出す… やっぱり俺は今でも蒼が好き…もう一生会えないのだろうけど… 「蒼…」 きっと、俺は一生誰のものにもならないで死んでいくのだろう…蒼に叶わない想いを抱いたまま… モールを歩いていて蒼に似た人を見つけると目で追ってしまう自分を嘲笑う。 「こんなとこにいるわけないじゃん…」 「麗ちゃん?」 振り返ると真琴さん。真琴さんの隣には誰だろう?彼氏さんかな? 「こんにちは」 声かけちゃって大丈夫なの?真琴さん… 「あぁ!!この子がうららちゃん?可愛い!!」 「あの…」 「あ!ごめん。ミサトです。水戸部ミサト。真琴の秘書兼セフレだよ!」 「おい!お前…こんなとこでそんなでかい声で言うな!」 「ごめんごめん。うわーっ…ほんと可愛い!そのコート!俺のデザインしたやつ!よく似合う!さすが真琴!」 「うるさい…黙って…」 「ふふっ」 「麗ちゃん?」 「いや…いつも大人な真琴さんの違う一面が見れて…嬉しいなって。仲いいんですね!」 「ちがっ…これは…」 「もう。照れない照れない。せっかくだし一緒にお茶しようよ!」 「いえ。プライベートでそれしたらダメなんで。じゃあまた」 二人に挨拶をしその場を立ち去る。 すごくお似合いだったなぁ。俺もあんな風に…蒼と… 「なんて…何考えてるんだろ…」

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