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懐かしそうに嬉しそうに目を細める真咲さん。 あぁ。本当に感謝してるんだ…そう思うと顔が綻んだ。 自慢の父ににそんな思いを持っている人がこんな遠くの地にもいたんだと思うと嬉しかった その真咲さんが先ほどとは違う顔をする。また空気がぴりりと凍った 「で?その息子の君が麗に会いたいのはどういう要件かな?」 「…藍は…俺の想い人…迎えに来たんです」 この人にとって藍は稼ぎ頭だ。そんなのいくら恩人の息子とはいえそう簡単には手放してくれないかもしれない… でも… 「藍に…会わせてください…」 ここで引くわけにはいかない… 「…麗はうちになくてはならない存在だ…」 「俺にとっても俺の友人たちに取っても藍はいなくてはならない存在なんです。ずっと…ずっと…探していた…藍の帰りを待っている場所があるんです…藍のお父さんだって…」 「…お父様は亡くなられたんだよ…知らなかったのかい?」 「え?…」 「だから麗はうちに来た。居場所がないからって…どこにもいく場所はないからって」 「…っ」 知らなかった…そんなの…お父さんとはなかなか会えないが関係は良好だと聞いてた…今でも一緒にいるのだとばかり思っていた… 「麗には今ここしか居場所がない。君は麗の居場所が自分のところだと自信を持って言えるのかい?」 自信なんてない…もしかすると今目の前にいる真咲さんの方が藍を幸せにできるのかもしれない…そうじゃなくても俺みたいにまだ親の世話になっているただの大学生より相応しい人がいるのかもしれない…でも… 「藍の居場所が俺のところではないかもしれない…もう藍には相応しい人が側にいるのかもしれない。自信なんてないです。でも藍の隣にいてこれからを一緒に歩いていくことはできる。それは俺がまだ未熟だから…だからできることがあると思います。あのパネルの藍は本物の藍じゃない…あれは作られたものであって藍が藍でいられる場所は俺のところだと…友人たちのところだと…それだけは自信を持って言えます」 パネルを見て感じていた。これは藍の本当の姿じゃないって。藍は本当は泣き虫でちょっと抜けててでもしっかりしてて世話好きで…底抜けに優しくて…柔らかく笑う人。あんなに凍ったような人形ような笑顔を浮かべる人じゃない 「藍に…会わせてください。藍を見て藍の言葉を聞いて藍にとって何が一番なのか…見極めたい…お願いします。藍に会わせてください」

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