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そしてその日の夕方になった。 「もうすぐ彼がくるから待ってね」 ピンポーン 丁度良くインターフォンが鳴った。 玄関に向かったのはミサトさん。 「いらっしゃい」 「お邪魔します」 「兄の飛鳥だよ」 「え?え?」 そこに立っていたのはオーナーの真咲さんだった。 「驚いた?俺たち腹違いの兄弟なんだよね」 「藍瑠くんのすんでいたマンションはうちの会社が管理してる場所。だから部屋まで来ちゃった。驚かせてごめん」 「え?」 「あのねぇ。藍瑠くんはねぇ。本当はね苦情なんて出してないよ。藍瑠くんにはお礼と喜びの声しかないんだって。これはとても異例の事なんだってよ。でもね、真琴が気付いちゃったんだよね。麗ちゃんはお人形みたいって。見た目もそうなんだけどどこか機械仕掛けの人形みたいなことがあって放っておけないって。そんな風に感じてしまってから麗ちゃんの事を考えて…そしていつしか本気で好きになっちゃったって。毎回会う度その思いは募って…だからこそ気がついた。麗ちゃんには…本当は忘れられない人がいるんだって。麗ちゃんのことを思うから気付けた。それから色々俺に調べさせて蒼人くんに辿り着いた。そして蒼人くんの思いも知った。麗ちゃんの…藍瑠くんの本当の笑顔が見たいからこそ今回のことを計画したんだ。佐藤くんはたまたま真琴の会社の従業員だった。彼には辛い役目を与えてしまったけどね」 知らなかった事実がミサトさんからつらつらと語られる。全ては俺たちのため… 「ミサト…それ…言わなくて良かったのに」 「だってぇ。真琴と飛鳥さんが悪者になるなんてヤじゃん!!こんなにも藍瑠くんを二人を思ってるのに!そんなの俺が嫌だ」 ミサトさんは本当に二人の事が大切なんだ。 3人の関係が眩しかった

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