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何でお前なんか…10

凩は奥の部屋で寝かされていた。柔らかい寝顔に安堵する。 さらさらと凩の柔らかい髪を撫でる… 凩は元々色素の薄い子。肌は透き通るように白く今は髪は黒く染めているが実は銀色の輝く髪を持っている。 瞳の色も銀色。カラーコンタクトでわからないけれど その容姿は美しく皆を引き付けていた。 ゆっくりと目が開く 「マコ…」 「おはよ」 「ミト…」 「うん。おはよ。大丈夫なの?」 「もう大丈夫…マコ…ごめんね」 「大丈夫だよ…良かった…凩が生きていてくれて…会いたかった…」 体を起こした凩を抱き締める 「俺も…会いたかった…良かった…また二人に会えた…雨のこと…ごめん…」 雨はミサト同様、凩につけられた人の名前。 雨は他のものとは違い少し遅くあそこにきた。年齢も少しだけ上だった 雨は凩とは対照的で漆黒の髪に光も反射しないほどの真っ黒な瞳。 背も高くがっしりとしていた。 たまには違う毛色の子を…と、どこからか拐ってきたようだった 雨は声をあげず只ひたすらに耐えるやつだった。 それも新鮮だったらしく気付けばお気に入りにされていた。 俺たちには寝る部屋が与えられていた。 俺とミサト、凩、ずっと3人部屋だったけど雨が仲間に入った いつも四人で寄り添い眠る。 たまに施設長の指示で俺たちの絡みを見せることもあった。 雨は言葉は少ないが包容力があった。 そして…俺を思う凩に惚れていた 解放されて自ら凩につくことを熱望しその願いは叶う。 そして数年…突然の別れが訪れた…

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