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何でお前なんか…12

静かに扉が開き入ってきたのは紛れもなく雨… 顔に傷が出来てしまっていたけれど… 「…初めまして?…」 「え?…」 「雨には…事故前の記憶が何もないんだ…」 「そうなの…?」 それを聞きみるみる凩の瞳にキラキラと光るものがたまり落ちた… 「雨…雨なのに…」 でも…雨はゆっくりと凩に近付凩が不安になったときしていたように抱き締め髪にキスをした 「あ…め…」 「すいません…体が勝手に…」 「雨…雨…」 ポロポロと泣く凩に困ったような視線を向ける。 「凩さん…すいません…何も…覚えていなくて…」 「雨が…雨が生きていてくれて良かった…忘れちゃっててもいい…生きていてくれたことが嬉しい…よかったぁ…」 また自然と体が動いたのだろうぺろりと舌で涙を掬う雨… 雨だ…間違いない…

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