279 / 356

何でお前なんか…13

ミサトside 雨は今海に囲まれた自然豊かなところに住んでいる あの事故の後、浜辺に打ち上げられていた雨をたまたま通り掛かった老夫婦が助けてくれた。 意識を取り戻した雨が覚えていたのは自分の名前だけだった。 老夫婦には子供がなく我が子のように接してきた。 お陰で元は感情の乏しかった雨は少し感情というものが表に出るようになっていた だから始めは本当に本人なのか疑った。 でも凩のことや俺たちのことを覚えていなくても雨の行動や気遣いは間違いなく雨で。 だから面と向かって話そうと雨の元を訪ねた。 そしてその直後今回の事が起こってしまった 本当は早く雨と凩を会わせるはずだったけれど老夫婦のお婆さんの方が倒れ結局今になった。 雨は何も覚えていない…。でもきっと本能で凩を守らなければと思っているはずだ。 「あの…凩さん…」 「うん…」 「もう一度抱き締めてみてもいいですか?」 「うん…」 もう一度ゆっくりと優しく凩を抱き締める。凩が不安なときはこうやって抱き締めて眠っていたのだろう。 すんすんと凩の匂いを胸一杯にして凩の顎を持ち見上げさせる… 「この目は…コンタクト?髪は…本当の色じゃない?」 「…」 何も言ってないのに何か感じ取ったのだろう。 「ねぇ。飛鳥さん…お風呂貸してくれる?」 「あぁ。いいよ。」 立ち上がる凩をごく自然に手助けをする雨…

ともだちにシェアしよう!