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何でお前なんか…18
「ただいまぁ」
「おかえり」
「まーこーとぉー」
「鬱陶しい…くっつくな…」
「えぇ…いいじゃーん!俺頑張ったんだよぉ」
「はいはい」
「んもぉ…冷たい…」
「うるさい…腹へった…」
「うん。すぐ作るねぇ」
俺は本当に昔からミサトがいないとダメなんだよなぁ…
ミサトが手際よく飯を作る。味は毎回間違いない。
今日も美味しく頂いて片付ける
「ミサト」
「ん?」
「話ある」
「あ!そうだったね。ちょっと待ってねぇ」
バタバタと自室へ向かい暫くすると多くの書類を持ち戻ってくる。
戻ってきたときのミサトはもう仕事の顔だった
ミサトはメリハリはきっちりしてる。そこも一緒に仕事がしやすかったことの一つでもある
仕事の話も淡々とこなし全て目を通す
「このまま進めて」
「わかりました」
「ミサト来て」
「んー?なぁに?」
ミサトが俺の隣に座る。ミサトの頭を撫でると肩に凭れてきた。
「良かったねぇ…凩…雨と仲良くできるといいね」
「大丈夫だよ…あいつらならきっと…」
「うん…」
ミサトに啄むようなキスをする
「ねぇ…ミサト」
「ん?」
「あのね…俺…」
「うん」
「大切なこと忘れてた…」
「ん?」
「俺…お前に会ったその日から…お前が好きだった」
「へ?」
「どんな目に遭ってもいつも俺たちを支えてくれていたお前のことが好きで好きで…何でそれまで忘れちゃったんだろう…ねぇ…ミサト…好き…」
「え…と…え?」
「お前が俺のことどう思ってるのかわかんないけど…伝えたくて…」
「もう…真琴ー…!!」
「うわっ!なにす…」
ミサトは目に涙を一杯ためて俺を抱き締めていた…
「もう…もう!!ずっと待ってた…!なのに…藍瑠くんのこと好きになっちゃうし…俺…どうしていいかわかんなくて…ミサト…大好き…お前だけだから…ずっとずっと好きだった。なのにお前いつも流すし脈なしだなって…だったら…体だけでも繋がってたい…心をもらうのは諦めなきゃって思ってたのに…もう…」
「俺がさ…藍瑠くん好きになったのってお前に似てたからだと思う」
「似てる?俺あんなに可愛くないよ?」
「目だよ。強いあの眼差し…そして…本当の姿を見せないところ…絶対人の前では泣かないところ…苦しくてもそれを見せないところ…誰よりも強くあろうとする心…」
「…っ…」
「やっと…泣いた…ごめんね…長い時間待たせて…」
「真琴…っ…好きだよ…」
「うん…俺も…」
その日は心も満たされる熱い夜になった…
流石に動けなくなるまでやるわけには行かないから多少の我慢はしたみたいだけど…
朝目覚めると目の前に無防備に眠るミサトがいる…
ミサトはいつも俺より遅く寝て早く起きるからミサトの寝顔を見たのはほとんど初めてだった…
つんつんと頬をつつくと眉間にシワを寄せる
「ふふっ…可愛い…」
布団をかけ直しキッチンへ向かう。たまには何か作ってやりたい…
体は少し重たいけれど動けない訳ではないから
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