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緋色side
「好き…」
隣で眠る萌葱の頭を撫でながら呟く…大好き…大好きなのに…守ってあげられなかった…
自分の欲望に負けてしまった…
男たちの白濁で汚れていく萌葱に欲情した…
萌葱と気持ちが同じだったなんて…すごく嬉しかったのに…俺は…
好き…この気持ちは幼い頃からのモノ。
どんなときも真っ先に駆け付けてくれて守ってくれる萌葱が好きだった。
幼い頃はいつもどこに行くにも一緒で片時も離れたことはなかった。
小学生だったある日のこと。男子よりやっぱり女子の方がませていて萌葱が呼び出されて告白されてた
「萌くんのことが好きです!恋人になってください!」
「恋人?」
「うん!」
「何それ?」
「えっと…一緒に遊んだり手を繋いだり…チュウしたり…」
「え?やだ。チュウって口と口でするやつでしょ?気持ち悪い。緋色だったらいいけど他の人とか嫌だ」
「ひいくんは萌くんの双子だから恋人にはなれないよ」
「そうなの?だったらそんなのいらなぁい。緋色がいればいいもん!じゃあねぇ」
女の子はそこでボロボロ涙を流し踞っていた。
見ていてはいけないと立ち去ろうとしたとき俺に彼女が気付いてしまった
「ひいくん?」
「あ…ごめんね?」
「うん。いいの。わかってたの。萌くんはひいくんのことが一番だって…でも…二人は双子だから…恋人になることは出来ないし結婚だってできないでしょ」
「そうなの?」
「そうだよ。ひいくんは男の子だし」
「結婚できないの?」
「うん。だからきっと大人になったらひいくんも萌くんも女の人と結婚して離れないとならなくなるね。」
絵本の中の王子さまとお姫様は結婚してずっと幸せに暮らしました
結婚したらずっと一緒にいられる。だから俺は萌葱と結婚するんだって疑わなかった。
でも…出来ないんだ…悲しいな…寂しいな…いつか離れないとならないなんて…
「だからね…告白したんだけど…へへ…フラれちゃった…でも萌くんはひいくんのことが好きでひいくんは萌くんが好きなのに可哀想だね…だってずっと一緒にはいられないんだもん。私ね。中学生になったら遠くに行かないとならなくて…だから…少しだけでも一緒にいたかったんだけど…だめだった。じゃあ。帰るね。バイバイひいくん。明日ね」
ずっといられないショックで暫く動けなかった…
少したつと萌葱が見付けてくれて手を引いてくれた
「緋色帰ろ」
「うん。」
小さい手を握り返して一緒に帰った。
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