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「ごめんなぁ。お前らの家ほど広くなくて」 確かにうちよりは狭いけれど二人らしい無駄なものはなくきれいに整頓されたシンプルな部屋だった 「いいえ。大丈夫です。こちらこそ突然…ありがとうございます」 「風呂溜めてくる。もう少し辛抱ね」 そういうと瑞季さんが萌葱の頭を撫でる。 その間に圭翔さんがお茶を淹れてくれた。良い香りのするハーブティだった。 「飲みな。落ち着くだろうから」 「いただきます」 二人はこの状態になった経緯は聞かなかった。そうこうしているうちに風呂のブザーが鳴る 「お風呂溜まったね。ひいくん、もえくん多分一人じゃ処理できないだろうから手伝いがいると思う。どうする?ひいくんがする?」 「はい。」 「わかった。着替え出しておくから行っておいで」 ほとんど歩けない萌葱を圭翔さんがバスルームまで運んでくれた。 扉を閉めてゆっくりと萌葱の制服を脱がしていく 萌葱の体につけられた紅い痕。花畑みたい…綺麗…でも… 「こんなの…つけて…萌葱は俺のなのに…」 俺が大輪の花をいくつも咲かせたかったのに… 「緋色?」 「何で…」 俺の萌葱にこんなものつけて…気にくわない…あまりにも腹が立って涙がこぼれた 「緋色…泣かないで…」 額を合わせて見詰め合った。 あぁ…萌葱…優しいね。 俺の心は醜い思いで歪んでいるのに自分が辛いはずなのに俺のためにそんな顔して… 本当に…愛しいよ…どこかの檻に閉じ込めて鎖で縛り付けて苦悶の表情を浮かべながらも乱れ欲を溢す萌葱を愛でていたい…

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