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「緑…お願い…離して。俺はお前の気持ちには答えられない。緋色のことしか考えられない…緋色のことが好きだから…離して」
「萌葱…」
「離して」
ゆっくりと俺から離れた緑を横目に急いで着替えて振り返らず帰宅した
帰宅すると家の中がいつもと違った
「ただいま…」
誰からも返事はない…
リビングに行くとソファーに横になっている人影。
寝てる?
近付くと緋色が制服を着崩して寝ていた。
その無防備な姿にそっと手を伸ばす
その時だった。視界が反転した
「緋色…起きてたの?」
緋色のいつもと違う眼差しに恐怖を覚える
「萌葱…緑と付き合ってんの?」
「付き合ってない」
「へぇ。それなのに愛してるって言われてあんなに悦んでたの?俺のこと好きだといいながら?」
「ちがっ…」
最後まで言う前に唇を塞がれた
「俺のこと追いかけても来なかった。萌葱は俺じゃなくあいつを選んだってことでしょ?それに俺が呼ばれないときでも股開いてるらしいね。あいつらが気持ち良さそうなお前の姿見せてくれたよ。お前俺のこと好きだと良いながら男なら誰でも良かったんだろ?獣みたい」
「ちっ…」
また言葉を紡がせてもらえない。そんな汚い言葉が緋色から出るなんて…ショックだった…
「ねぇ。萌葱。俺にも股開いてくれるよね?」
「皆が帰ってくるよ」
「あぁ。安心して父さんたちは翠と杏子二人つれて食事。紅ねぇは仕事。蒼にぃは言わずもがなでしょ?」
「緋色…」
色を失った緋色の瞳に捕らわれて動けない
「それとも俺にはもう開きたくない?まぁそんなの関係ないけどね」
そういうと俺に覆い被さる緋色。いつからこんなに力が強くなったんだろう?それとも相手が緋色だから?
「萌葱…俺をみて…」
この顔は知ってる…悲しいときや困ったときの顔だ…
そっと緋色を抱き締めて俺からキスをした
「緋色…俺は緋色が好きだよ…」
「うそだ…」
「嘘じゃない」
「だったら…何で…何で緑とあんなに…」
「…緑から少し前から告白されてる…」
「え?」
「でも断ってるし俺の気持ちが緋色にあることも知ってる…追いかけなかったのは…ごめん…すぐに追おうと思ったんだけど…緑に…強く抱き締められて…そして…緑が…泣いた姿初めて見て…動揺して動けなかった…」
「緑が?泣いて…」
「うん…」
「…じゃあ…萌葱はまだ俺が好き?」
「お前以外いらないって言ったでしょ?」
「萌葱ぃ…」
「緋色…愛してる…誰よりもお前を…だから…抱いて?あいつらの熱を忘れさせて?」
もう一度緋色がキスをくれた。
「部屋行こうか」
「うん…」
初めてを緋色に明け渡した以来初めて抱き合った…気持ちが伴った行為…全てが明るく見えた気がした
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