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緋色side
もう…どうなってもいい…どうせこれから萌葱に会うこともトマリに会うことも無くなるのだから…
向こうにいったら戻らないつもりだから…
「ん…いいよ…でも…俺初めてなの…だから…優しくして?」
潤んでいるだろう瞳でトマリを見つめるとトマリの表情が変わる。メラメラと燃えるような雄の瞳…
「うん。優しくする…だから身を委ねて…」
「ん…」
そういうと指が一本挿入された。初めての異物に息が止まりそうになる
「…っ…緋色…力抜いて…痛くしたくないから…」
そしてもう一度俺の唇を塞ぐ
口内を蹂躙しながら空いた手で俺の中心部をやわやわと触る
「あ…んんっ…」
「緋色…」
少し動きやすくなってきたのか痛みは和らいでいた
「2本目…いれるからね…」
さっきより苦しい…
「っ…ん…っ…」
「ごめんね。もう少しだから…」
「…っ…」
そしてさらに増やされバラバラに踊り始める指先…スムーズになってきた頃トマリの太い熱が宛がわれる…
「いい?…」
「うん…ん…んんっ!!!いや!!やだ!!やめて!!やめて!!トマリ」
コワイコワイコワイ!!萌葱じゃなきゃ嫌だ!!ヤダ!!
「緋色?」
「やだ…嫌だよ…やだ…」
またもや崩壊した俺の涙腺からは止め処なく滴が溢れ出た
「…っ泣くなよ…ごめん…もうしないから…」
そういうと俺の涙を拭ってくれて服を着せてくれた
「ごめん…ごめんね…トマリ」
「こっちこそごめん…悪かった…本当に…ごめん…」
そのあとは俺が泣き止むまで抱き締めて背中を撫でてくれてた。
「そろそろ時間だな…送るよ」
「ありがとう」
トマリのバイクの後ろに乗せてもらって帰宅して。トマリを見送る。ちょうどその時紅ねぇと蒼にぃが帰宅してにやにやしてた。
「まさかトマちゃんが相手とは」
「お前遠距離になるのに大丈夫なのか?」
トマリのことは家族のみんなが知ってる。よく遊びに来てたから
「トマリとは何でもないよ」
「ええ?そなの?色っぽい顔してるから事を終えて帰ってきたのかと」
「卒業式だったから泣きすぎちゃったの。」
「そっか。ひいは泣き虫ちゃんだもんね」
「もう!紅ねぇ!からかわないでよ」
「緋色…」
さっきまでのからかうような笑顔とは売って代わり泣きそうな顔で紅ねぇが抱き締めてくれた
「緋色…ちゃんと連絡してね…たまには会いに来てね…私も会いに行くから…」
抱き合う俺たちを包み込むように蒼にぃが二人まとめて抱き締めてくれた
「緋色…お前が選んだ道だ。だから俺たちに止める権利はない。だから…見送る…でも何かあればすぐに戻ってこい。心が壊れてしまう前に…お前は我慢しすぎるから…約束しろ。毎日連絡するって」
「うん…わかった…連絡する…手紙も書く」
「頑張り過ぎんな。夜は出歩くな。わかった?」
「うん」
「約束破ったら無理矢理にでも連れて帰るから。わかったな」
「うん」
「おーい!中にはいれよ!飯できてんぞ」
「父さん。今日は早いんだね」
「本当は卒業式も行きたかった!なのにさなえがいかせてくんなかった!だから無理矢理帰ってきた」
「もう。父さんったら」
最後の食事は俺の好物ばかり…だから…必然的に萌葱の好物でもある…
「萌葱もいられたら良かったのにね」
「萌葱と俺は一心同体だったから…誰よりも側にいたから…いなくて良かった…だって萌葱いたら決心鈍っちゃいそうだもん」
「それもそうかもしんないけど。萌葱には話してるんでしょ」
曖昧に返事をして食事を食べ終わる
少しだけゆっくりして家族総出で送ってくれた。
「約束ね!ちゃんと連絡してね」
「うん。じゃあいってくるね」
バイバイ…サヨナラ…萌葱…大好きだよ…
飛行機から街の明かりが見えなくなるまで見下ろしていた。
もうここには戻らない…ごめんね…みんな…
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