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「萌葱お疲れ様」 「マネージャーお疲れ様です」 「スケジュール調整ができて明日と明後日休みもぎ取ってきた。だから少し休んだら?お前最近詰めすぎ」 「仕事してた方が…余計なことを考えなくて済むから…だから…仕事したい」 「弟くんのこと?」 「…恋人が出来たんだって…同棲してるみたい…」 マネージャーである三海さんは緋色と会ったことがある。俺が子供の頃からお世話になってる人で何度か見学に来たことがあったから そして俺の気持ちに一番始めに気付いた人でもあった。 恋愛のかたちは人それぞれ。思って人がたまたま血の繋がった兄弟だったってこと… 三海さんも実は血の繋がった兄に好意を寄せていた。 俺たちと違うのはお兄さんが思っていたのは三海さんではなくて他の人だったってこと。 今お兄さんはここからはとても遠い場所のとある田舎町で奥さんと三人の子供と共に暮らしているそうだ。 思いは伝えないままに時は過ぎ時の流れに身を任せ生きてきた三海さんの前に運命の人が現れて恋に落ちて今は夫夫として側にいる。 俺もいつかは緋色のことをいい思い出にして運命の人と出会えるのだろうか? 「そこでだ。萌葱。お前少し遊んでみたら?」 「遊ぶ?」 「malice de l'angeって知ってる?」 “malice de l'ange”芸能人や政界。または大企業の偉いさん方だけが行ける風俗店…。いつだったか仕事で一緒になった先輩が教えてくれた。 全く女っ気がない俺を心配してくれたのだ。 その時見せてもらったキャストの写真を覚えてた。 小柄そうな色白で可愛らしい感じの人。 女性かと思った。けれど聞けばその人は同い年の男性。勿論女性の在籍もあるのだが先輩のおすすめがその人。“みやび”さん。 店の特性上プライバシーはしっかり確保される。 有名人はスキャンダルが命取りになることも多い。それが恋愛関係なら尚更だ。 通常であれば利用できるのは18歳以上なのだがそこは特殊。 今アイドルは若年化していることもあり18まで待ってたらそれこそ大変なことになるのでここは年齢制限なしで利用可能らしい。 どうやってその許可を取ったのかは知らないけれどとにかくちゃんとした店なのは聞いてる。 「でも俺別にヤりたいとかないです」 「別に必ずヤらなければならないと言う訳じゃない。ただたまには外の世界の人と友人としてでも付き合ってみたらどうかと思って。でも外じゃ萌葱のイメージが独り歩きしててなかなか作れないでしょ?だからその店を利用するの。利用費はこちら持ちでいい。萌葱にもたまには他の風もいれなきゃね。せっかく今乗りに乗ってるし。このままでも十分だけどみんなが知る萌葱じゃなく素の萌葱で過ごす時間はとても重要だと思う。でないと疲れるでしょ?萌葱は優等生だと業界の人も言うしそのイメージがついて回るから常に気を張ってないとならない。このままじゃ素のお前がお前自信もわからなくなってしまうよ。まだ実家にいたときは安らげる時間もあっただろうけど今は一人暮らしだし」 「わかりました…」 「で!これがそのお金!」 「え?」 「社長からのお年玉だと思って使って。てか全て使ってきて!じゃないと俺が社長に叱られる」 泣き真似をしながら三海さんが言う。ちなみに社長は三海さんのパートナーだ。ずっと近くにいたのに近過ぎてお互い意識したことがなかったらしくこうなる日が来るとは夢にも思ってなかったらしい。 「わかりました」 そのあと利用方法なんかを色々聞いて初めてだから誰を呼んだらいいのかわからなかったしずっと頭に残ってた“みやび”さんを呼ぶことにした

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