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マンションの近くのスーパーに立ち寄る。みやびは慣れた様子で食材を籠にいれていく。
「みやび料理するの?」
「うん。料理好きだよ。僕は外食あんまり好きじゃないの。静かに食べたいからね」
会計を済ませ外に出る。ここまでは幸せ気分だったのに…
「萌葱じゃん!!」
スーパーを出ると急に声がかかった…聞き覚えのある…声…振り返りたくない…
「…」
無言で立ち去ろうとすると男が俺の腕を掴んだ
「おい!無視すんなよ!」
やっぱり…あの頃最初の内俺を酷く扱っていた奴。そして飽きるのが早くて早々に来なくなった奴であり緋色に触れた奴だった。
みやびは驚いて固まっている。
こいつはガタイも良くて顔もどっちかって言うと強面の部類に入るし無駄に力強いし格好もその辺のチンピラみたいな恰好。こんな華奢で可愛らしいみやびには恐ろしいよね…俺が守ってあげなきゃ…
「ごめんね…巻き込んで」
「ううん。」
「萌葱!」
無視してみやびと話してたら思いっきり大声で呼ばれた。耳痛い…腕も痛い…
「…離して」
自分が思ってた以上に冷たい声が出た。変わらない下衆な笑い方…気持ち悪い…あの頃のことが思い出されて無意識に震えてた
「悪いけど連れがいるから。」
「へぇ。相変わらず男好きなんだ?このこと事務所に報告したらお前のクリーンな印象ってどうなるだろうなぁ…」
「…」
脅されてる…言い返したいのに何も言葉がでなくてきつく唇を噛み相手を見るけれど手の震えが止まらない…情けない…あの頃に囚われたままじゃないか…
何も言えないでいたら
「悪いけど急いでるんだ。どいてくれる?」
みやびが言った。意外だった。そんなに強気で自分よりとても大きな奴に立ち向かうのだから。
「へぇ…綺麗な顔してるんだねぇ。君」
男の意識がみやびに移る。そしてあの緋色を触ったときの気持ち悪い笑みでみやびの顔を撫でた。みやびはそれを払いのけて続ける
「触らないで」
すごい…みやび…俺結局…守られてばっか…変わってないな…
変わってたつもりだった…強くなってたつもりだった…でも…心と体にこびり付いた恐怖心は払拭できてなかったんだ…
こんなにも恐ろしいのだから…
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