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リビングへ戻りソファへ腰掛ける
「みやび、ごめんね…巻き込んで…あの人たちは?」
何者だったかなんとなく予想はできるが一応聞いてみた
「あぁ…うちの店のボディーガードの人たち。この業界にいると犯罪まがいなことをするようなお客さんも出ることがあるし今日みたいに無関係な人?例えば熱烈なファンの子に囲まれて大変なことになることもあるから外で会うとき必ず近くで待機してるの…嫌な思いさせてごめんね…」
「ううん…」
やっぱりこういう店には必須だよね。何が起こるかわからないんだから…有名人相手だし…外で何かに巻き込まれたらタダじゃ済まないだろうし…
「ご飯食べられそう?」
せっかく一緒に作ろうって言ってくれたのに…食欲がなくなってしまった。まだ時間も残ってるのに…
「ううん…ごめんね…無理言ったのに…」
「いいよ。」
「少しだけ…抱き締めてくれる?」
「うん…」
自分よりも小柄なみやびの柔らかい腕の中で目を閉じる…
ゆっくりとあやすようにみやびが背中を撫でてくれた…しばらくそうしてたら落ち着いてきて顔を上げる…
「ありがとう…みやび…」
顔を上げると意を決したようなみやびの表情に見惚れた…
「…空雅…僕の本名は空雅。」
本名を教えてくれるなんて…特別な感じがして嬉しい
「空雅…」
噛みしめるように名前を呼んだ
「うん。空雅の雅がみやびって読むからってことでみやびなの」
本名を教えてくれたみやびに何があったのか話す決心をして見つめる
「そうなんだね。ねぇ。空雅…話し…聞いてくれる?」
本当はとても怖い…でも…誰にも話せなかった事実を聞いてもらいたかった…そうすることで少し楽になれる気がした…
「それで萌葱が楽になれるならね。無理に話さなくても大丈夫だよ」
気遣うように空雅が口を開く…でも…聞いて…できれば…嫌わないで…そう願いあの忌々しい過去を話すために口を開いた
「あのね…俺の処女奪ったの…双子の弟…俺と瓜二つで…俺は…緋色に…弟に…兄弟と言う域を越えた想いを持ってた…」
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