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空雅は俺が話し終わるのを背中を撫でながら黙って聞いてくれた。時折苦しそうな表情をしながら…空雅も辛いことがあったのかもしれない。
俺みたいに報われない恋してた?ねぇ…空雅…
「高校卒業と同時に…緋色は家を出て海外に…緋色の突然の態度の変化の理由は結局聞けないまま…今はもう俺とは連絡は取れない…緑は未だに連絡してくることもあるけど気持ちに答えるつもりもない。会ってないし今後会うつもりもない…両親からは緋色は向こうで恋人ができて幸せに暮らしていると聞いてる…でも…俺は…まだ…どうせ離れていくのなら…ちゃんと…振って欲しかった…」
黙っていなくなって欲しくなかった…無理なら無理ってちゃんと終わらせて向こうへ行って欲しかった…
だから…俺は今でも緋色に捕らわれている…
「今日のやつはその中にいたやつで…面白半分であいつらと一緒になってやってて早い段階でそいつは来なくなったんだけど…まさか…まだ…あのときの動画を持ってるなんて…」
「今頃ちゃんと裁かれているはずだよ。大丈夫」
強い眼差しで言う空雅。きっとこの店のことだそういうことはお手のものなのかもしれない。世間を騒がせずかたをつけること
「でもあいつが持ってたってことは…他のやつも…」
「…それは無いとは言えないけど…」
「怖い…とにかく怖い…イメージの問題も勿論あるけどやっぱり家族に迷惑をかけることが耐えられないし緋色にまたあのときのこと思い出させて苦しい思いをさせたくない…せっかく…幸せを掴んだのに…」
「萌葱。ご両親は緋色くんと連絡は?」
「してるみたい。でも…」
「何も聞けない?…」
「うん…俺が元気かどうかは聞いてくるって話してくれたけどそれ以上は何も…」
「会いに行っちゃえば?今どんなことやってるのかどうしてるのか様子がみれれば…どんな生活を緋色くんがしていても萌葱は先に進めるんじゃない?」
「…怖い…」
「そう…了解…」
自分の事のように苦しそうな顔をした空雅が何か呟いたけど聞き取れなかった。
「空雅?」
「萌葱。安心して。あの映像は全て処理されもう存在しないようだよ。」
どうしてそんなことがわかるのか?理由は空雅が話してくれた。そっと外された小さなピアス。ちゃんとみないとわからないけど小さなボタンとスピーカーがついてた。
「これね何かあったときに上に連絡が出来るようになってるの。ほら」
耳元に当てられたそれから声が聞こえる。
『木築さん。もう大丈夫ですよ。あの男に問いただしたところ他のものはその当時全て消されているとのことでした。嘘ついている様子はなかったからそれが真実だと…念のためその当時の事を調べさせてもらいました。勝手にすいません。関係者全て当たり事実確認がとれましたのでご安心ください』
スピーカーから聞こえた低くとても優しい聞き取りやすい声…受付したときに応対してくれた人…オーナーさんなのだろう。通信を終了して空雅に返す
「良かった…」
「うん。少しは元気出た?」
「うん」
「あんまり食欲はないかもしれないけど何も食べないのは体に悪いし仕事にも支障をきたす。だから簡単なもの作るから食べて」
「ありがとう…」
空雅が作ってくれたバランスのとれた色とりどりの食事を一緒に取りその後は時間一杯までゆっくりと二人で何もせずただのんびり過ごした。
久しぶりに心安らげる頑張らなくてもいい自分のままでいられる有意義な時間だった。
「今日はありがとう。またね」
「うん。またね。お仕事行ってらっしゃい行ってらっしゃい」
空雅に見送られ部屋を後にした
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