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ちゃんと俺の気持ちは伝わっただろうか…緋色への思いはうまく隠せただろうか… 隣で眠る空雅の額に口付けキッチンへ向かう。何も食べないでこんな遅くなったからお腹が空いたかもしれない。 最近頑張って練習してなんとか作れるようになった料理を作った。できてから暫く 「…萌葱…」 まだ辛そうな体を引き摺るようにして空雅が起きてきた。その姿はまだ艶っぽくて俺の体温が上がった気がした。その姿に見惚れてぼんやりしてると不思議そうに首をかしげる空雅。その姿も可愛い… 「ん?あ!空雅。おはよ。ごめんね…体平気?」 「大丈夫だよ。これ萌葱が?」 「ん…形は…悪いけど…味は多分大丈夫かと…」 「ふふ…意外だよね。何でも出来るのに料理は…ふふっ」 「なかなかうまくなんない…また教えて?」 「いいよぉ。お腹すいた…食べよ!」 「ん。」 「「いただきます!!」」 二人で一緒に手を合わせ食事を始める。空雅の作るものほど美味しくない…でも 「美味しい!」 本当に嬉しそうに笑う空雅の表情に安堵した 「良かった…」 「この分だとあっという間に僕よりうまくなるね」 「ええ?それはないっしょ?」 「ううん。なるよ。仕事は?」 「明日早朝から。マネージャー迎えに来る」 「この場所に?」 「ん。俺ここに越してくる。前の家ちょっといろいろあって…ここの方がセキュリティーしっかりしてるし」 「そっか。僕はどうしたらいい?」 「出来ればここに来て欲しいけど…」 「…」 無言の空雅に焦る…だめかな…断られる前に… 「取り敢えず鍵。持ってて?いつでも来ていいから。仕事の時間とかは連絡するね。俺がいてもいなくても自由に使ってくれると嬉しいけどな」 空雅の両手を取り部屋のキーを持たせた。するとふわっと笑ってくれる空雅…やっぱり可愛いな… 「ありがとう」 ニコニコしながらお礼を言ってくれた空雅が可愛くてたまらない 「可愛い…大好きだよ」 「うん。僕も大好きだよ」 空雅の迷いに俺は全く気付いていなかった…

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