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旅立ち 2

「忘れ物はない?」 「大丈夫」 「本当に大丈夫?」 「大丈夫だって。じゃあね」 母が心配そうにでもどこか眩しそうに目を細め見ていた 新しい土地は地元とは違い公共機関だって沢山ある 俺は電車通学になるのだが一時間に1本有るか無いかの地元とは違い沢山電車も走っているようだ 慣れるまでは大変そうだけれど楽しみの方が勝っていた 自由な時間が手に入るのだから 新居に到着し荷解きを終える 荷物は最小限にしたためそこまで時間もかからなかった 来週から通う高校まで試しに行ってみることにした やはり人は多く、でもこの喧騒が心地好い 駅につけば学校まで徒歩10分程度だ ここは新居の側とは違いどこか懐かしさもありそれもまた嬉しい 緑が多い通りを過ぎ角を曲がれば高校が見えてくる 私服の同世代の人が見えこの人ももしかするとここに通う人なのかもしれない 春休み中は一般にも解放される門扉を抜け学校中を歩き回った ここが新しい場所。楽しみだ そして入学式当日を迎える

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