9 / 356

まさかの

保健室へ行くと青白い顔をした茜が横たわっていた 俺を呼びに来た男は茜のクラスメイトで席が隣らしい 北時という名前は珍しいわけではないがこの学校には俺しかいないようでこいつはわざわざ調べて教室まで来たようだった 見かけによらず人がいいのだと思った 「俺は教室戻るけど北時は出来ればそばにいてやれないか?」 「別にいいけどうまくうちのクラスの奴に伝えといて」 「わかった」 青白いがやはり整った顔立ちの茜を見つめる。 ゆっくり目を開けた茜は息を飲んだ… 「さなえ…なんで…」 「お前のクラスの奴が呼びに来た。飯食ってるのか?なんかやつれたけど」 「ん…食べてる…よ…」 「…昨日の夜何食った?」 「…カップ麺…」 「は?今日の朝は?」 「コーヒー…」 「だけ?」 「うん…」 「昼は?」 「…食べてない…お腹空かないし…勉強してた…」 「お前さ。ずっとそんな食生活してるの?」 「俺…料理苦手だし…それで問題ないかと」 「バカ…寝てるの?」 「寝てるよ?」 「昨日何時に寝た?」 「今朝…5時…」 「は?起きたのは?」 「6時」 「いつからそんなに眠れなくなったの?」 「…さなえに最後あった日から…」 「バカか!!お前!!そんなんじゃ倒れるに決まってるだろ!!」 「だって…さなえにいらないって言われたら…俺…生きていけない…」 「んっとにもう…今日はもう帰るぞ。お前の荷物持ってくる」 ふらつく茜を支え一緒に茜の家に戻る。俺の住んでいるアパートのすぐ近くだった 部屋の中は全く生活感がない ベッドに茜を寝かせると買い出しに出た 本当にカップ麺しかないこの家… 料理はもともと好きだし実家でもよく作っていた。調理器具もほとんど無いのでそれも買ってきた 簡単なものを作り茜を起こす 茜は凄い勢いで平らげた 「さなえすごい…レストランの人みたい」 「そんな大袈裟な…」 「だってすっごく美味しかった!ありがとう!ご馳走さま」

ともだちにシェアしよう!