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もう一度

簡単に片付けをして風呂をためる。湯船には浸かってないって言ってたから少しでも癒されればと思って 「茜。ちゃんと風呂入って寝ろよ。俺は帰るけど」 「やだ…もう少しだけここにいて?」 「変なやつ。俺いたら寝られないでしょ」 「さなえがいなきゃ眠れない…」 苦しそうに言うから仕方なくベッドの脇へ座り昔してたみたいに髪を撫でてやった 「ありがと…やっぱ俺はさなえがいなきゃなにも出来ない…一緒にいて?」 「それは…考えとく」 別に茜が悪い訳じゃないことはよくわかっていた… もって生まれたものがこれだったからこうなってしまっただけで…茜が何かしたわけではない… わかっているけど… 「さなえ…」 「ちょっ…何?」 弱っているやつとは思えないほどの力で抱きすくめられる 「さなえ…さなえ…大好きなんだ…」 「わかってる…お前が悪い訳じゃないこともわかってる…でも俺は…」 「さなえ…側にいてよ…」 こんなに弱々しく言葉を告げらたのもいつぶりなのだろう… 俺はこの苦しそうな表情に昔から弱い… 「わかった…わかったから離せ」 「ん…」 自ら手放したかったのに…結局もう一度掴んでしまった

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