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友達だから
電話をしてみるが蓮華は出なかった…
相当具合が悪いのだろうか?
たまったプリント等を無理を言って預かり蓮華の家に向かった
蓮華は小さなアパートに独り暮らしだった
聞いてた話と違うので多少驚きはしたものの逆に安堵していた
アパートにはインターホンもなく扉をノックする
暫くしてドタドタと部屋の奥から物音がしたかと思うと特に顔色が悪いわけでもない蓮華が迎えてくれた
「さなえ…どうして?」
「プリント持ってきた。10日分。」
「あ…ありがとう」
「具合はもういいの?」
「…っ」
「蓮華?」
意を決したように蓮華はうなずくと
「さなえ。お前に話がある」
「うん。」
部屋に通された
「なんか…以外…」
「何が?」
「アパート古いのになかめっちゃきれいにしてんじゃん。彼女とか?」
部屋の一角に女性ものと思われる服や化粧品が並んでいた
「いや。彼女はいない」
「え?でもあれって…」
「俺さ…お前に話してないことがたくさんある…」
「うん」
「まず…茜が言った通り俺は如月グループ…代表 如月篤人の長男…」
「うん」
「俺がお前と仲良くしたかったのは…
あの日あの桜の木の下ですごく綺麗な姿で佇むお前に興味が湧いたから。
入学式の日お前を見かけて同じクラスで声を掛けずにはいられなかった…
それに…
お前は俺のこと…知らなかったから…
俺は…如月の息子だから…俺自身を見てくれる人に今まで出会ったことがなかった…
だから俺を知らないお前といることが心地よかった…
俺に近付くのは俺じゃなく…如月を見ていた…お金なのか…名前なのか…人によって違うけど…
俺は如月グループの息子じゃなくて如月蓮華という一人の人間として見て欲しかった。
だから…このこと知られたらお前もそういう風に見てしまうんじゃないかって…
それは嫌だって思って逃げた…
せっかく仲良くなれたのに…」
「あのさ…
確かに俺はお前がそうじゃないかって茜に言われて…恐れ多くて…今まで通り出来ない…って思ってた。
もう仲良くなんて出来ないって…
でもさ…お前がここ数日休んで離れて…周りにいろいろ言われて…
でもやっぱりお前のことは好きだし嫌いになんてなれないし。
これから態度を変えるなんてきっと出来ない…
それ思ったら蓮華は蓮華なんだし俺は俺だしそれでいいんじゃないかなって…って何言ってるか自分でも良くわからんけど…
まぁお前が好きだってことは変わらない。
ただそれだけだしお前から金をせびるだとかそんなのはするつもりなんてない。
俺はお前と対等でいたい。だって友達だろ?」
「ありがと…」
「んでもさお前なんでさっき電話出なかった?」
「あ…あの…それも話す…
俺さこの数日会社に行ってるんだ。
新商品の開発を一緒にしてる。
あと少しで完成だったから一気に済ませようと思って。
学校側に伝えて体調不良ってことにしてもらった。
実はさっき帰ってきたばかりで…
会社にいる間はスマホ見ないから気付かなかった」
「すげー…開発とかするんだ…」
「うん。好き。だってやっぱりいいもの作りたいし…使うんだから」
「ん?使う?」
「あぁ…あのさ…多分これが一番引くと思うんだけど…あの服俺のなんだ…」
たくさん並ぶ可愛らしい服たちを指差しながら蓮華が俯いた
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