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…
茜を思い自分を慰めた俺自身に嫌悪感を持った…
この気持ちは蓋をしなければならなかったのに…
葵さんが言ってた…
私は本当は子供がもっと欲しかった。でもね…茜を生んでから間もなく私は病気で子宮を全て取らなければならなかった…だから…産むことは叶わなかった…子供も沢山持ってくれないかな…それが私の願いなの…
俺ではその願いを叶えてあげられない…俺も茜も男だ…子供を持つことはできない…今男でも妊娠できる薬は開発中だと聞いているが完成がいつになるかなんてわからない…
だから…俺は…諦めたんだ…だから…茜…何も言わないで…お願いだから…
止めどなく涙が溢れる…
「茜っ…」
気付きたくなかった…思い出したくなかった…ごめん…茜…ごめんね…
翌日あまりにも酷い顔で茜に会いに行くのは止めることにした…
「もしもし…茜?ごめん…朝から具合悪くて…今日は行けない…」
「さなえ…わかった…ごめん…」
違うよ…お前は何も悪く無いんだよ…悪いのは全部俺なのに…
「違う…違うよ…茜…お前は謝ることなんて何もしてない…だから謝らないで…」
「でもっ…俺っ…」
あぁ…泣かないで…茜…ねぇ…
「ごめん…ごめんね…」
一方的に電話を切りベッドへ潜り込む…
茜…傷付いたよね…ごめんね…
涙がまた止まらなくなって…もう…このままどうにかなっちゃいそうだった…
どれだけ泣いても涙は枯れなくて…翌日も泣き続けた…あぁやばいな…明日テストだから絶対行かなきゃなのに…こんな顔じゃいけない…
急になったスマホに驚く。相手は蓮華だった
「もしもし…」
「さなえ。何その声…どうした?」
「蓮華っ…俺っ…俺っ…」
「うん」
「俺ね…茜をっ…」
「うん」
蓮華は俺の言葉を急かすこともなく聞いてくれる…それにまた泣き崩れて…
「うわぁぁぁ…」
「今からそっち行く。住所送って」
「んっ…」
蓮華ならきっと…そう思い震える指で住所を送信した
それから30分くらいして蓮華はやってきた。
「蓮華っ…俺っ…俺っ…」
「さなえ。おちついて。大丈夫。ほら深呼吸」
「うんっ…」
少しして落ち着いて
「ごめん…蓮華…」
「いいよ。目。これで冷やして」
「うん。」
「それとこれ。まだ製品化はしてないんだけど目の腫れを抑えるやつ」
「ありがとう」
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