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「俺昨日…」 昨日あった出来事を蓮華に話す。蓮華は詰まりながら話す俺を根気よく待って聞いていた 「俺っ…茜が好きだったんだ…」 「うん」 「でも…だめ…葵さんが悲しむ…そう思ってずっと…ずっと奥にしまいこんで…でも…茜が触るから…茜が俺に笑いかけてくれるから…」 「あのさ…さなえ」 「ん…」 「それじゃだめなの?」 「え?」 「確かに茜のお母さんの思いは叶えてあげたい気持ちわかるよ?きっと茜だってそう。でもさ…お互い思い合ってるのに…茜は諦めないで手を伸ばそうとしてくれてるのにお前はそれでいいの?」 「だって…俺じゃあ…」 「作っちゃえばいいじゃん。その薬」 「え?」 「お前の頭なら大丈夫だよ」 「そんな…無責任なこと言わないで。そんなこと出来るわけない!」 「諦めるの?お前の思いはそれで終われるくらいのものなの?それなのに茜がお前じゃない別の誰かを選んで別の誰かと子供作って育てて…それをちゃんと祝福してあげられるの?友達としてちゃんと。それ見て泣かない?笑える?さなえのままでいられる?」 「…」 「ねぇ…諦めないで…」 「蓮華…」 「俺はお前のことも茜のことも好きだから…だから笑っていて欲しい」 ピンポン 「こんな時間に…誰?」 「俺出ようか?」 「いや…大丈夫」

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