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「さなえっ…お前…顔…」 「だから会いたくなかったのに…」 「ごめんね…こんなに泣かせて…そんなに嫌だった?ごめん…ごめんね…」 恐る恐る俺のまぶたを指でなぞるその指先が熱い… 「違うって言ったじゃん。お前が謝ることは何もないんだって」 「さなえ。俺帰るね。ちゃんと話しなよ。明日からテストなんだから」 「わかってる。ありがとう蓮華」 蓮華はひらひらと手を振り帰っていった さっきまですごい形相で自分を見ていた蓮華の行動に茜は呆然としていた 「あ。ねぇ茜。」 「なに?」 「さなえを泣かすなよ。本当に他に取られるぞ。このままだと」 「…」 「じゃね」 「まぁせっかく来たんだし…あがって?」 「うん…」 茜は戸惑いながらもついてきた。 茜の家と比べるととても狭い。 「ごめんなぁ。散らかってて。適当にすわっ…」 茜がフワッと抱き締めてきた 「さなえ…」 振りほどくこともせず茜の鼓動と吐息を感じていた… 「ねぇ…さなえ…」 「ん~?」 「俺ずっとさなえが好きだった…誰にも渡したくない…誰にも触れられたくないんだ…」 「…」 「お前は知らない…周りがどんな目でお前を見てるのか…だから…気が気でなくて…お前に好意を寄せているやつら…男も女も…見つけたら俺は無理矢理に俺を向かせるように仕向けた。だからお前に告白してくる奴はいなかったんだ。お前の幸せなんて願えなかった…俺が幸せにしたいんだから…俺の身勝手だけど…こんなの気持ち悪いよね?…友達じゃないよね…」 茜の一言一言が重くて苦しくて 知らなかった…そんなことしていたなんて… 普通なら気持ち悪いと突き放されてしまうことかもしれないけれど…俺は嬉しかった

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