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約束の後で 1
結局昨日は茜を泊めて今一緒に登校している…
それはいいんだけど…近い…とにかく近すぎる
「ちょっ…茜。歩きにくい。少し離れて?」
「やだ…」
出た…やだやだ星人…昨日はあの後…まぁ…いろいろ大変だった…トイレや風呂にまでついてこようとする茜に離れるようお願いしても、いやだいやだと言い宥めるのが大変だった
朝からも片時も離れたくないのかぴったりとくっついてくるため正直邪魔だ…
俺よりも大きい体が纏わり付くのだからたまったもんじゃない…
「お、お二人さん。おはよ」
「あ。蓮華。おはよ。」
「昨日はありがとうな。お陰で腫れ引いた」
「おぅ。効果覿面。良かった」
「むぅ…蓮華…さなえに近い…」
「お前そんなキャラだった?どうした?頭のネジ飛んだか?」
「うるさい。俺は前からさなえの側に寄る奴はきらいなの」
「お前…そのギャップ…」
「蓮華…笑ってないでどうにかして…」
妙な距離感の俺たちを回りは遠巻きに見ていた。
あの完璧な茜がキャラ崩壊してるんだから仕方がないといえば仕方がない…。それが纏わり付くのが俺みたいな平凡でさぞ驚いているのだろう…
「あーかーねー!!いい加減にしろ。嫌いになるよ」
「えっ…それはやだ…」
「んじゃ離れて?みんな見てる。注目されちゃうよ」
「あ…くそっ…みんな俺のさなえに色目使いやがって…」
「いやいや…使ってないから…むしろ見られてるのお前だから…」
「はぁ…お前らさ…もう本当に…はぁ…俺とんでもないやつら選んだかも…(てかさ…二人とも見られてるから…その顔面偏差値高すぎるの自覚しろ…)」
蓮華の心の声なんて聞こえるわけない…
「あぁ…やだ…何で俺だけ違うクラスなんだよ…くそっ…」
「仕方ないだろ。ならまた後でな」
「蓮華。見張っておいてよ」
「テストなのに見張る必要あるか?」
「ある。教師だってさなえ狙ってんだから…」
いや…だからそれはないって…あるならお前だから…そう思ったけれど敢えて言わなかった
テスト期間中はみなそれぞれのことで余裕もないのか俺たちに声をかけてくるものはいなかった
何事もなくテスト最終日を迎えた
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