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約束の後で
「茜。今日お前の家に寄ってもいい?」
「いいよ。蓮華も来る?」
「いや。俺は一回会社に顔出さないと」
何だかんだ言いながら茜は蓮華のことは嫌いではないらしい
俺に向けている視線は茜の嫌なそれではないらしい
今までの奴等と対して変わらないと思うけどな…どこが違うんだろう
「おい。木築」
低くて重い声が茜を呼んだ。茜は嫌そうに振り替える
「何?権堂恒久。こんなとこよくわかったね」
「わざわざフルネームで呼ばんでいい」
目の前には茜が倒れたときに教えてくれた人。でかい…全体的にでかい
「恒くん」
「おお。蓮。元気か?」
「…うん」
「知り合い?」
「あぁ。中学から一緒」
「蓮。ごめん」
「え?何が?」
「嫌…中学の時…お前があの如月だって、知ったときのあの態度…ずっと謝りたくて。俺はお前が如月だったから声掛けたんじゃねぇんだ。信じてもらえないかもしれないけど…」
「ん…まぁいいけど…慣れてるし…」
「お前と仲良くなりたい…またあの頃みたいに…」
何があったのかはわからないけれど多分権堂はそんなやつじゃないと思う
「うん。わかった。またよろしくね」
「ありがとう。で木築」
「何?」
「お前今日日直。サボるな」
「えぇ…やっとやっとさなえと…」
「ふざけんな。来い」
茜相手に動揺も何もなく話しかけてくるやつを初めて見た。
「すげぇ…あの茜を黙らせた。恒くんすげぇ」
「確かにな。何かあんな茜新鮮」
拗ねたような茜…可愛かった…なんて本人には絶対言わないけれど
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