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茜の友達?
「権堂って友達?」
「あ?たまたま席が近いから」
「ふふっ」
「何?」
「茜がそんなあからさまに嫌がってるのが珍しいなって」
「あいつ保護者みたい。俺がすること全部指摘してくる。面倒…あいつさあんな成りだけどめちゃめちゃ真面目でさ。俺が授業中ぼんやりしてたりすると授業中は教師の話を聞くもんだ。とか、体育の時もやる気だしてなかったら本気出せとか…今日の日直のことなんてみんな日誌適当に書いて出すくらいしかしねぇのにわざわざ探しだしたりさ…なんか取り敢えず面倒…」
「でもさ。これまではお前の表面だけしか見てない人ばかりでお前の素を見つけられる人いなかったからいいんじゃない?権堂には仮面被らないんだろ?」
「ん…楽…変な目で見てくるでもないしな…」
「お前が倒れたときも教えてくれたのは権堂だったよ。すごく心配そうに急いで俺を見つけてくれたんだよ」
そう。茜は人当たりはいいんだけど本当は凄く面倒くさがりでいつもの爽やか茜くんは偽物…
言葉遣いだって皆には柔らかいけど家族や気を許した人、本気で茜を怒らせた人にはそんな丁寧な話し方はしない。まぁ怒らせたときの茜は冷たいじゃすまないけど…もしくは逆に甘ったるい声か…
「だから仲良くなれば?ってすでに仲良さげだけど」
「なぁにぃ?さなえ。ヤキモチ?」
「いや。全くそんなことない。嬉しい。茜をちゃんと見てくれて」
「そこはヤキモチって言ってよ」
「はいはい。俺も権堂とちゃんと話してみたいな」
「えぇ…やだ…」
「何で?」
「だって…今日権堂お前に見惚れてたもん」
「気のせい」
「気のせいじゃないし」
「お前はさ…何でそういう頭になっちゃうわけ?誰がこんな平凡に見惚れるんだよ」
「ほんと…この子は…」
「何?」
「何でもない」
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