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二人の時間

「…じゃあ…お前どこでやってたの?」 「え?それ聞く?」 「う…うん…気になるし…」 「地元にいたときは専ら体育館倉庫。あそこ誰も使わないし…こっちでは…空き教室だったり保健室だったり…保健医さぁ。結構緩くて…いないことの方が多いんだよね。後は相手の家か…ラブホ…後は…公園のトイレとか?」 「ラブホって入れるの?」 「え?そこ?」 「だってまだ15だよ?入れないかと…」 「多分黙認?かな?それか単純に年齢気付かれてないか。俺この見た目だし…本当はダメ。入れないよ?」 「そうなの?…何人相手してきたの?」 「わからない…数えてないし」 「男?女?」 「どっちもどっちかな…」 「…」 「あ…やっぱ気持ち悪いよな…?」 「ん…複雑…ちなみに…童貞捨てたのって…」 「…11。知らないお姉ちゃん…街で声かけられて連れ込まれて…無理矢理ね…その人から何度も待ち伏せされて…男の相手させられたこともあって…」 「知らなかった…」 「言ってないもん…すげぇ気持ち悪くて気持ちよくて…何かもうわけわかんなくて…飽きたのか急にパッタリ誘いなくなった。おそらく俺の背が伸びて声変わりしたからだろうね。そういう趣向の人たちだったんだと思う…でも…あの人たち…お前の事も狙ってたんだよ…本当はお前と俺が一緒にいるところ見て最初はお前を連れていこうとした…お前は気付かなかったみたいだけど…お前を同じ目に合わせたくないなら言うこと聞けって…」 「ごめん…」 「お前が無事ならそれで良かった。俺はお前があんなことされる方がやだし」 「茜…」 「それから…何か…抱いてやれば相手も喜ぶしお前も守れるならいいかなって思って俺に言い寄って来るやつもお前に言い寄ろうとしているやつも求められれば抱いた」 何でもないような顔で話している茜が苦しそうに見えて…抱き締めた 「ねぇ茜。茜が自らってことはなかったんだよね?」 「有るわけない。俺が欲しいのはずっとお前だけだし。好きでもないやつを自ら求めるなんてあり得ない。気持ち悪い。時間の無駄。あ…ちなみにだけど…キスはお前が初めてなんだよ…最初のやつらはしなかったし。体だけあれば良かったみたいだから。そのあと関係持った奴等だって気持ち悪くてキスはさせなかった。だから…俺の唇知ってるのはお前だけだよ。」 「にしては…上手かった…」 「ん~?何でだろ?やっぱ愛してるからかな?」 「茜…俺さ…怖い…俺は経験ないし知識もあまりないし…実際抱いてみたら違うって思われたら…それで別れるなんて言われたら…立ち直れない…」 「うん」 「お前を…手放したくない…だから…約束してくれる?もしも…体の相性良くなかったとしても…離さないでいてくれるって…ずっと…側にいてくれるって…」 「約束する。当たり前だろ?俺はお前を閉じ込めたいくらい愛してるんだから離すわけ無い。お前が泣いて離れたいなんて言っても離してやらない」 「ん…」 「俺はお前さえいればいい」 「茜…お願いが…あるんだけど」 「なぁに?」 「お前さ…きっと、これからも告白されるでしょ?もう他の人…抱かないで?頼まれても抱かないで?やだ…お前が他の誰か触るの…だから」 「当然」 「約束っ…ね?」 「うん…ねぇ。さなえ」 「何?」 「抱いてもいい…?」 体の芯から痺れるような茜の甘い声に抗えずゆっくり頷いた… 「優しくするから…」 「ん、っ…」 そして俺たちは初めて繋がった 甘くて蕩けるほど愛し合って…ゆっくりゆっくりお互いを体に刻み込む… 幸せで… 「茜…大好き…」 意識を手放した俺が目覚めたのは翌日の日が高くなったころだった

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