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家族

葵side 「母さん。俺…さなえと同じところにいく」 「え?」 「志望校変える。さなえがいないとか無理」 「茜。さなえくんに依存しすぎじゃない?友達の域越えちゃってるじゃない」 「ねぇ。母さん。ごめんね」 「何が?」 「俺…さなえのこと好きなんだ。友達としてではない…俺はさなえと共に生きたい。一生側にいたい。さなえと家族になりたい」 「茜。自分が何言ってるかわかっているの?」 「わかってる、でも俺はさなえ以外考えられない」 「でもあんた…お付き合いしてる子いたじゃない」 「はぁ?」 「だって…」 「どの人のこと言ってるかわからないけど俺が今まで関係持ったのはさなえに思い寄せてる奴らばかりだよ。さなえを取られるくらいなら俺が先にって思って…」 「あんた異常よ」 「それでも俺はさなえがいい。絶対さなえを俺に向かせる」 「おかしいよ」 「母さん。さなえの志望校どこかわかってる?」 「え?」 「神楽高校。名前知ってるでしょ?」 知っている。茜が合格を決めたところと同等の場所。一流だと呼ばれている学校。決まっている場所より勉強する環境ははるかに整っている。茜は昔から本を読むことや勉強をすることが好きだった… だから茜にとってとてもいい環境ということはわかる…わかるのだけれど…心配はさなえくんのこと。 我が子ながら茜は好きなものにはとことんのめり込む…それはもうとても…異常な程 さなえくんのことをそこまで思っているのなら犯罪紛いのことをしかねない。 「茜。さなえくんのこと…」 「俺はさなえと離れたくないってことも勿論だけどあの環境で勉強したい。確かにもう決まっているあそこもかなり環境はいい。でも神楽と比べたら…劣るでしょ。大丈夫。さなえが嫌がることはしないから。だから行かせて?」 私はバカだと思う。結局首を縦に振った 茜を信じるしかない…変なことはしないっていう言葉を…もし…何かあれば…無理矢理連れ戻す。 「ありがとう。母さん。あのさ。このことさなえたちには言わないで?さなえは多分…俺と離れたくて…わざわざ神楽を選んだんだと思うんだ…悲しいけどきっとそう…だってそうでしょ?ずっと俺と比べられて…からかいの対象にされたんだから。俺だったら嫌だ…さなえはさなえで俺は俺なのに…」 そうして合格した茜に釘を刺した。 「絶対にさなえくんを傷付けないで」 「わかってるよ」 そして数ヶ月 中々連絡をくれない茜から連絡が入った。 「さなえと一緒に暮らしたい」 「茜と一緒にいさせてください」 茜の思いが通じたのだと思った 引っ越しの日。茜の一方的な思いじゃなくさなえくんも同じ気持ちなんだと雰囲気から読み取った。 無理矢理でないなら反対する必要もない… 二人が幸せに笑っていられますように…そう願い茜の家を後にした 「葵さん。二人とも幸せそうだったね」 「えぇ。良かったです」 「何?何の話し?」 私たちは公認だけどきっとこれから大きな壁が立ちはだかっている。そのときは味方でいたいと思った

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