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はじまり。秘密
「ゆりかが悪い。いい加減それやめろ。これまで何人誑かしてきてんだ…」
「えっと…恒くん…どういう…」
「従兄弟だ」
「はぁ?従兄弟?」
「あぁ…こいつは昔から癖が悪くてな…すまん…木築、北時…」
「いや…それより従兄弟なことに驚いてる…」
「はぁ…ごめんね。驚かせて。内緒ね?」
いつもと違いすぎるゆりちゃん先生を見つめる。
「さなえちゃん。俺に見惚れちゃった?いつでも俺に乗り換えていいからねっ!君みたいな可愛い子は大歓迎。茜くんよりよくしちゃうよ?」
低い声で耳元で囁かれる。ヤバい…トリハダたった…
「ふふっ…耳弱いの?可愛い…」
そういうと耳朶を甘噛し耳の中に舌を入れてきた
「ひゃっ…ん…やめてください…」
「さーおーとーめー!さなえから離れろ!!」
無理矢理俺の肩を抱いていたゆりちゃん先生を茜が引き剥がす。
先生は楽しそうに笑った
「ふふっ…木築も可愛い…あぁ…二人とも相手しちゃおっかな」
「遠慮しておきます」
「えぇ…フラれちゃった」
「ゆりか…いい加減にしないと…」
「ごめんごめん。二人の反応かわいくてつい…ね?許して?つーくん」
「キモい…」
「本当は蓮華くん狙ってたんだけどなぁ…ドストライクなんだよね…顔も声も腰つきも…ね。」
舌舐めずりしながら蓮華を頭の先から爪先まで妖しく見詰めるゆりちゃん先生に蓮華は後退りしながら変な声をあげる
「はぁ!?」
「俺の気になってた子達が皆友達なんて…最高…もうね。三人揃うと可愛すぎて堪らない…見てるだけでイッちゃいそう…」
怖い怖い怖い…
「ゆりか!」
「なるほど…だから恒くんは茜を気にしてたんだね。狙われてたから」
「まぁ…それもある…」
「権堂!!茜を守ってね!!」
「…っ…わかった…」
「あぁ…つーくん照れてる…可愛い…」
「っさい…」
「絶対さなえはやらない」
「でもささなえちゃんが俺を選んだら諦めてよね?茜くん」
「俺は茜以外を選ぶことは絶対にないので」
「妬けるねぇ…先なんてわかんないじゃん」
「ないです。あったとしてもあなたは選びません!!」
「あったとしても…そんなことあったら閉じ込める…」
「茜…ないから!ねっ?」
「ゆりか。何か用があったんじゃないのか?」
「あ。そうそう…権堂。数学準備室にきてくれるか?頼みたいことがある」
あ…先生モードに切り替わった…
「わかりました」
先生に連れられて権堂が立ち去った。俺たちはただそこに呆然としていた
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