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はじまり。秘密
権堂side
普段なら連絡をしてゆりかの自宅へ向かうのだが…本当に何の理由もなく特に用があるでもなくなんとなくゆりかの自宅へ向かった。
中からは何も聞こえない
ゆりかはピアノを引くので防音設備が整ったマンションなのでそれはいつものこと
持っていた合鍵でドアを開けリビングへ向かうがそこにもいない。ならばとピアノがおいてある部屋の扉を開け驚愕する
そこには全裸にされ身体中を殴られているゆりかがいた。
相手は回りから見えないようなところに拳を打ち付けていた
急いで側に行くと目が血走っているやつが振り返り殴る先を俺に変えた
「お前か!ゆりかの浮気相手は」
「浮気?ゆりがそんなことするわけねぇーだろ」
「五月蠅い」
「った…」
既に意識を失っていたゆりかの横で馬乗りになられ顔を殴られる
「俺は…ゆりかのことを愛しているんだ。誰にも邪魔はさせない」
数十発殴られたあと俺は奴を引き剥がし押さえつけた。
「くそ、っ!!離せ!」
「俺だよ。恒久」
「恒…久…つーくん…」
「そうだよ。やっとわかった?何でゆりにこんなことしたの?」
「あぁ…ゆりか…なんてこと…ごめんね…ごめんね…」
片手で押さえたまま警察と消防へ連絡し状況から察したやつらが男を連れていった
救急車の中…まだゆりかの意識は戻らない
「ゆり…ごめんな…気付かなくて…」
病院につき俺も手当てしてもらう。その場でゆりかの父に電話をし来てもらった
「あぁ…恒久…大丈夫か?なんてことだ…ゆりかは?」
「寝てる…身体中アザだらけだった…相手はあんたの知り合いだから…ゆりは言えなかったんだろうよ」
「そうだよな…」
五月女家は如月には劣るがそれなりに大きい家だ
五月女の取引先の社長の息子だった彼を気に入り引き合わせたことが今回のことに繋がるとは想像もつかなかっただろう
彼は温厚で、仕事もできた。気遣いだってできた。誰からも信頼されていた…
俺だってそうだった…会ったことはそこまで多くはないが彼の纏っている雰囲気は温かかった…俺は見た目から怖がられることも多いがそんな俺にも臆せず普通に弟のように可愛がってくれていた…だから…俺もかなりショックだった
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