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運命の日
「あ…茜は…茜はどこ?」
何かがおかしい…
「茜くんなら…買い物っ…」
「ねぇ!どこにいるの!!ねぇ!」
こんなに取り乱すさなえはあの時振りだった…
「さなえ。落ち着きなさい」
どんなに強く抱き締めてもさなえは俺のことが見えていない
「茜…茜…茜…」
「さなえ!!」
さなえ!さなえ!俺の声を聞け…
「やだ…茜っ…茜返して…」
もう俺の声は届いていない。薊はその場から動けずただそこで見ていた
「茜…茜…」
次の瞬間さなえは俺の腕をすり抜けキッチンへ向かう。刃物を手にしたさなえがそれを振り回す
「茜を!茜を返して!!」
急いで薊を庇い刃物を避ける。
くそっ…何で俺は…
「さなえ!!」
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