86 / 356

運命の日 茜side

玄関を開けるとものすごい音が聞こえる。 嫌な予感がする。 「ねぇ。そらちゃん。りくちゃん。俺が呼びに来るまでこの部屋にいてくれる?」 玄関を開けてすぐ右の扉は子供部屋だ。二人の部屋だということはわかっていた 「絶対にこのお部屋から出ないでね。いい?」 「うん!!わかった!」 頷くのをみて扉を閉めてリビングへ向かった そこには取り乱して刃物を振り回すさなえと唖然とする薊さんを庇うようにして抱くみのりさんの姿があった。 「さなえ!!」 急いでさなえを後ろから抱き締める。何度も名前を呼ぶとさなえはぐったりし刃物を落とした。 それをみのりさんに片付けてもらった 「さなえ…さなえ…さなえ!!」 意識を手放したさなえを抱き締め続け名前を呼ぶ 「茜…?」 「さなえ…ごめんね。ちょっと買い物行ってた。そらちゃんとりくちゃんと」 「…?え?…」 あまりにも呼びに来ないからかしびれを切らしたそらとりくがやって来た 倒れたさなえに声をかける 「お兄ちゃん。大丈夫?」 まだ目が虚ろなさなえが 「父さんと母さんは」 そう問う。あぁ…守ってやりたい… 「え?目の前にいるじゃん」 やっと視界にみのりさんと薊さんを捉え たようでふっと力が抜ける 自分が何をしていたのか記憶が飛んでしまっているようで正直安堵した 「茜…俺…」 「大丈夫だよ。俺はずっと側にいるよ?」 「茜…」 「薊さん。さなえの部屋借りても?」 「えぇ。大丈夫よ」 「すいません」

ともだちにシェアしよう!