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運命の日 薊side
茜くんがさなえを連れて部屋へ行く
何もできなかった自分が歯痒い…
「ママ?どうしたの?」
「ん?何でもないよ。お兄ちゃんが心配なだけよ」
「お兄ちゃん…お兄ちゃん病気かな?」
「そうねぇ…でも茜くんがいるから大丈夫よ」
「茜すごいねぇ。お医者さんみたい」
「そうね。お兄ちゃんだけのお医者さんね」
「じゃあ。茜はお兄ちゃんと結婚するの?…そらがお嫁さんになりたかったのになぁ。でもお兄ちゃん美人さんだもんね。お兄ちゃんならいいやぁ」
幼い二人の何でもない言葉の一つ一つを噛み締める
茜くん…さなえを…お願いします…不甲斐無い親でごめんなさい…
任せてしまってごめんなさい…ありがとう…
それから暫くして降りてきたさなえは食欲もあってホッとした。
「うまい!やっぱ唐揚げは母さんのに敵わないや」
「良かったわ。またいつでも帰ってきてね」
「うん!ありがとう」
さなえの笑顔が消えないで欲しい…ずっと…
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