113 / 356
文化祭を終えて 新山side
結局答えなんて出なくて…
朝起きて重たい体を起こし学校へ行く準備をした
今日休めば北時が心配する…
「おはよう。悠祐。あんたすごい顔だけど大丈夫なの?休んだら?」
「いや…寝不足なだけだから大丈夫」
「そう?なら早く食べちゃいなさい」
「いただきます」
母は何も聞いてこなかった
久美さんから聞いているかもしれないが敢えて何も言わなかったのだろう
玄関を出ると久美さんに会った。
「おはよう。悠ちゃん」
「おはようございます。理実は?」
「…今日は休ませるわ…部屋に篭って出てこないの…」
「あいつ…ご飯食べてます?」
理実は何かあれば食事が疎かになる。これは昔からだった…
久美さんは苦しそうに首を横に振った…
「鍵開いてます?」
「えぇ…」
「俺…様子見てきますね」
「ありがとう」
久美さんに挨拶し理実の部屋に上がる。
「理実。俺。入るぞ」
「…悠祐…」
…たった2日で相当窶れた気がした…相当後悔しているのだろう。自分のしたことに
「理実…」
震える理実を見ていられなくて布団ごと抱き締める。
「ねぇ。理実」
「…」
「ご飯食べよ?」
理実は無言で拒否をした
「理実…じゃあ水くらいは飲んだら?ちょっと待ってて」
久美さんから許可を貰っていたので勝手に冷蔵庫を開けボトルを持って理実の部屋へ戻る
理実はさっきの姿のままそこにいた
「ほら。飲めよ」
「いらない…」
「お前なぁ…ったく…仕方ない奴…」
ボトルの蓋を開け自らの口に含み理実に口移しする。
コクリと喉がなったのを確認して唇を離す。
この行為は理実がこうなるときいつもしていたことだった。
「悠祐…ねぇ…」
「ん?」
「キスして?」
「…うん…。」
…あまりにも苦しそうに見つめられたら…拒否出来なかった…
「悠祐…もっと…」
時間の許す限り何度も唇を重ねた
「ごめん。理実。もう行かないと…また学校終わったら来るからそれまでに何か胃に入れとけよ?」
「ん…」
「いってくるね」
「いってらっしゃい…」
後ろ髪を引かれる思いで学校へ向かう。
教室へたどり着く直前木築とすれ違う
「おはよう。新山」
「おはよ…」
どんな顔をしてるのかちゃんと顔を見れなくて…木築に頭を撫でられることをそのまま受け入れた。
俺より背が高い木築の大きな手は暖かだった。
「さなえをよろしくね」
「ん…」
優しい声色に息が詰まった…あんなに酷いことをしたのにどうしてそんなに優しい声で囁けるのだろう…
ともだちにシェアしよう!