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俺が俺でなくなる 茜side
冬休みが終わる。
さなえは未だに見つかっていない…どうすることも出来ない
学校には退学届けが出ていてバイト先には退職願いが出ている
ただあまりにも急なことだし店長はさなえを気に入っていたしさなえ本人が来た訳じゃない。だから籍は残されていた
「茜。まださなえ見つからないのか?」
「はい…」
「茜。ちゃんと飯食え。倒れたら探すどころじゃなくなるぞ」
「ん…わかっています」
バイトの度店長から飯を食わされる。学校に行けば蓮華や恒久、悠祐が食わせてくれる
そう…倒れるわけには行かないんだ
蓮華も五月女も自分の身分を使い一緒に探してくれている。
でも手懸かりは掴めなくて
さなえがいなくなったことで寄ってくる奴も増えた。
それも俺のストレスとなる
「さなえくんは君から離れたかったんだよ」
そう言われたのは何度目なんだろう。
始めは怒りを感じていたのに最近はそれもそうなのかもしれないと思ってしまう。
あまりにも執着しすぎたから…さなえに自由をあげなかったから…だから嫌になったのかもしれない。
抱きついてきたその女と過ごす内にやはり女がいいと思ってしまったのかもしれない…
俺のこと…もう…
完全に弱ってしまって…でもさなえ以外の他で紛らわすという選択はない
そんなとき理実と遭遇した
「茜!」
「理実?」
「悠祐から聞いていたけど…予想以上だな…」
「どうしよう…俺…」
「あのさ。茜。先に言っておくけどさなえが他がよくなったなんてことは絶対ない。俺が断言する」
その言葉がとても心強くて…溜まっていたものが溢れだした。
泣き出す俺を人気のないところに連れていき落ち着くまで待っていてくれた
「なぁ。茜。心当たり本当にないの?」
「…まさかとは思うけど…あいつの母親かも?」
「は?」
勝手に話すのもあまり良くないと思ったが言葉を紡いだ
「茜の母親は実の母親じゃないんだ…だから…産みの親が絡んでるのかもしれない…でも…今さら…何で…」
さなえを捨てたはずの奴が今さら来るのも何となく腑に落ちなくて…
「その母親のことは調べたの?」
「いや…」
「じゃあそれも調べてみたら?何かわかるかもしれない」
それから俺は色んな手を使い母親を調べ始めた。名前はみのりさんから聞いた。でもあの当時女が勤めていた会社は既に倒産しその後の行く宛はわからないということだった
後はどうやるか…
俺の力ではどうしようもない。やはり蓮華や五月女の力がいる…
「なぁ蓮華」
「ん。」
「あのさ…松原 みずえ。その人を探したい」
「は?」
「さなえの産みの親だ」
「名前以外は?」
「松原 榊。さなえの実の父親だ」
「わかった。何とかしてみる」
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