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俺が俺でなくなる
僕は夢を見ていた
とても優しくて暖かい夢…
何だろう…でも…とても苦しい…
誰かが僕をぎゅっと抱き締めてくれる。ちゅっ、ってしてくれる…そして沢山大好きしてくれる…
「茜…」
茜?茜…
そこで目が覚めた。目を開けるとおとうさんはいなくて台所に行ってもおかあさんもいなくてお部屋全部探したけれど誰もいなくて怖くなって探し回った。
どうしよぉ…どうしよぉ…ずっと一緒にいてくれるって言ったじゃない…おとうさん…おかあさん…
外には絶対出ちゃダメって言われているから出られない
一人で冷たい床の上で泣いていた
うまく息が出来ない…苦しい…
助けて…茜…
「ただいま…さなえくん!!大丈夫?」
「っ…お…と…さ…」
「ごめんね。少し買い物行ってたよ。ごめんね」
「よかった…おとうさん…いる…」
そしてもう一度深い海の底へ潜ったように目の前が真っ暗になった
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